【出会いますか？リサイクル】match the roses that you left

英国で新進気鋭のフローリスト（フラワーデザイナー）として活躍中のキーラ。
そのゴージャスなアレンジメントスタイルは、セレブの間でも大人気だ。
資産家の夫とも結婚し、人生は順風満帆だ。

そんなある日、キーラは夫とともに日本企業が主催するパーティーに行った。

そこでキーラは衝撃的なものを目にした。

花はわずか５本のバラだけ。
しかし、全く寂しさは感じない。
むしろ、枝物や葉物の中で咲き誇るそのバラたちは、これまでキーラが出会ったどんなバラよりも目立っていた。

ふんだんに花材を使った、豪華絢爛な自分のスタイルとは全く違う。

「英国の伝統的なイングリッシュローズ５本に、『あなたに出会えて心から嬉しいです』という思いを込めました。ここから、バラたちの作り上げたspace〜空間であり、宇宙〜を感じとっていただければ、幸いに存じます。」
そう語る、ikebanaのiemoto。

『バラ5本しか…』

華やかでありながら、深い精神性。
キーラは打ちのめされた。

「あたし日本に行くから」
「なんで！？」
「あのikebanaのスピリチュアリティを学んでくるまで帰らない。花を仕事にした以上、妥協も後悔もしたくないの。じゃあね。」

そう夫に別れを告げて家を出たキーラ。

３年後のヒースロー空港では、ikebana shihanの資格を取って戻ってきたキーラを、５本のバラを抱えた夫が待っていた。