秋。紅葉の美しい山が背後に控えるその神社に、女はやって来た。
そこに昔の同級生が来ていたことを知った女は、目の前が真っ白になった。
どうしてだろうか。
*百人一首 その二十四【このたびは ぬさもとりあへず たむけやま もみぢのにしき かみのまにまに】からのinspireです。
転載元: 「Oh God, I think I'm falling」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/7154
子供の受験合格を祈る絵馬に昔の恋人の名前を見つけたが、子供の年齢的にそれは二股or不倫の可能性が高いと気付いたから。
紅葉の美しいその神社は、学業成就にご利益がある。
冬の受験シーズンには、受験生やその家族でごった返すが、少し早い錦秋の候に、紅葉狩りとかねて参拝に来る人も多い。
そこに並ぶのは、色鮮やかな紅葉をあしらった絵馬。
女はふと懐かしい名前に目を止めた。
高校の同級生で、その後偶然再会して、3年ほどお付き合いすることになった男性の名前だ。
残念ながらご縁がなくて別れてしまったが、10年たった今でも、少し思い出すことがある。
「娘の茜が今年の中学受験に成功しますように。」
ふんふん。あいつも良き父親になったのね。
良き父親…ん?まって?中学受験ってことは、12歳だよね?
それ、私と付き合ってた頃じゃん。
もしかしたら、私と別れてから、子供のいる女性と結婚したのかもしれないけど…まさか…いやそんな…
山は美しい赤色に染まっているのに、女の目の前は真っ白になっていた。