「月は…出ているか?」
そう聞いてきたカメオにウミオは「ああ」と答えた。
今日は新月なのに、一体どうしてそう答えたのだろう?
*Q13 メラさんのリサイクルです。
転載元: 「【変化ますか?リサイクル】lead me out on the moonlit floor」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/6656
失明して日にちの感覚が分からなくなった遭難中の同僚に対し、希望を持たせるために日にちを偽った。
遭難してから10日が過ぎた。
「新月の日には、救いの船を出す」と連絡があった。
しかし、約束の新月の日になっても、連絡はなかった。
本国への無線は通じなくなり、連絡手段は断たれた。
これは予想に過ぎないのだが。
俺たちはたぶん見捨てられた。
わざわざ危険を冒して救出に行く価値はない、と考えられたのだろう。
でも、本国からの助けを信じて待っているカメオを絶望させたくなかった。
「ああ。月は出ている。まだ新月までは二日ある」
「そうか…目が見えないと時間が早く経つような気がするな。もう新月のような気がしていたよ」
たぶん、航海士のカメオには俺の嘘などお見通しだったのだろう。
次の日、カメオは動かなくなっていた。
副航海士をはじめ、この船の乗組員は徐々に弱り始めている。
コックの俺に何ができるのか。
俺は苦渋の決断をした。
「ちょうどウミガメが取れたんだ。
スープを作ったよ。
みんな飲んでくれ。」