検索してはいけない言葉

『牧瀬の法則』は科学者である牧瀬氏が発見した超有名な法則だ。
論文が投稿されて数か月で大きな話題を呼び、ニュースにもなっている。
大学生の岡部さんは教授から、
「『牧瀬の法則』に関して述べている論文はいくつかありますが、その中でも一番最初にこの法則について述べた論文を探してきなさい」
岡部さんは早速、論文検索サイトで『牧瀬の法則』というキーワードを打って検索した。するとキーワードを含む論文が数件ヒットしたのだが、その中には岡部さんの求める論文はなかった。
一体なぜ？

「牧瀬の法則」について一番最初に述べた論文は勿論牧瀬本人が書いたものである。
しかし牧瀬の論文の中には「牧瀬の法則」という言葉は存在しない。
なぜなら「牧瀬の法則」という言葉は牧瀬が書いた論文を読んだ人々が後から名付けたものであり、牧瀬が論文執筆をしている時点ではこの言葉は存在していないからである。
牧瀬の論文では「〇〇という法則」のような表現がされているはず。
そのため、「牧瀬の法則」という言葉でいくら調べても元となる論文は出てこない。