【酒ますか？リサイクル】control your poison baby

賢いと評判のカーメリータ女王の治めるタルタルーガ国では、酒について厳しい統制政策が敷かれている。しかし、同時に、タルタルーガ国は、世界的なソムリエ大会で優勝するような優秀なソムリエを何人も輩出している。どうしてだろうか。

＊Q15 セルフリサイクルです。
＊元ネタがあります。そこまで有名ではないですが、知っている人ならもしかしたら一発かも？

タルタルーガ国は比較的政情の安定した国だったが、全く問題がないわけではない。その一つが、国民のアルコール問題だ。充実した福祉施策が裏目に出て、若年期から飲酒するものが多く、そのことが生産性の低下や健康問題を招き、ひいては国際的競争力の低下、税収入の減少、そして国の目玉政策である年金や公的扶助、医療費の負担増など、様々な形で国家財政を逼迫しつつあった。先代ラテラオス王の時代には、厳しい禁酒法も導入したことがあったが、結局闇市場が増えただけで、事態は改善されなかった。

「わかりました。今後は、酒類の販売を厳しい許可制とします。」
「ですが、陛下、それでは国民の不満が治まりません。」
「そうね。４％未満のアルコールは、嗜好品として一般のスーパーなどで売ることを許可しましょう。日常の食事と合わせて飲むビールやロングドリンクはそれで賄えばいいわ。それ以外のワインやスピリットは、各地域１軒ずつの国営店のみに販売を許可し、そこから確実に酒税を徴収します。顧客には身分証明書の提示を徹底し、不正転売をしないよう、購買履歴もチェックします。」
「なるほど…」
「もちろん、国営店で買うメリットがなければ、ブラックマーケットができてしまうわ。だから、国営店は、品質の高いワインやスピリットを豊富に取り揃え、適正価格で提供すること。国営なのだから、実費プラス酒税分だけで売ればいいのです。そして、店は国営に相応しく、清潔で、高級感があり、最高級のサービスを提供すること。第一級のマナーと知識を持ったスタッフを養成しなければいけません。店とスタッフが基準を満たしているかについては、私が直接チェックします。スタッフを志願する者は申し出るように。一流のソムリエをつけて勉強させます。」

この政策は当たった。ただでさえ国民に大人気のカーメリータ女王の打ち出した政策ということもあるが、高級な雰囲気の中、一流のソムリエのアドバイスを受けて適正価格で酒が買えるというのは、それ自体魅力的だった。そして、女王陛下直々に任命を受ける「国営酒売店スタッフ」は、待遇の安定した公務員として、格好いい制服を着て信頼される仕事を行う、イメージの良い専門職として国中の憧れの職業となった。その結果、ソムリエ資格のために勉強する者も増え、国際的に見てもレベルが上がったのである。

＊北欧には実際こんな感じの政策をとっている国が多いです。お酒一本買うのも一苦労ですが、お店の品揃えと高級感はすごいです。