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[酒ますか?リサイクル】just holding on for tonight

[ウミガメのスープ]

stamp
ある村に、人を喰らう化け物がいた。村人たちは、化け物を鎮めるため、生け贄を捧げることにした。
生け贄には、カメコという名の美しい娘が選ばれた。彼女は酒と一緒に供物として捧げられた。
震えながらカメコは待った。夜が更けた頃、化け物は現れた。死を覚悟したカメコはしかし無事だった。
一体どうしてだろう?
*メラさん②のリサイクルです。


出題者:
出題時間: 2021年2月7日 19:19
解決時間: 2021年2月7日 19:44
© 2021 gattabianca 作者から明示的に許可をもらわない限り、あなたはこの問題を複製・転載・改変することはできません。
転載元: 「[酒ますか?リサイクル】just holding on for tonight」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5485
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stamp 実はカメコは元々臓器移植用に作られた人造人間。村の人間に騙されていたことに気付いたカメコは、「化け物」とともに復讐に転じる。

夜も更け、まがまがしい気配が近寄ってきた。捧げ物の酒樽の蓋がはじけ飛ぶ音がする。
「あいつら騙しやがって…」ひたひたと迫りくる足音。首筋にちくっと牙が立つ感触。もうだめだ。そう思った瞬間。

「うげっ…やっぱり…あの野郎ども」化け物が地面に崩れ落ちる音がした。
好奇心を抑えきれず、スマホのライトをつけて見ると、そこには、頭こそ狼のようだが、体は人間とさほど変わらない化け物がのたうちまわっていた。

「…おい、お前、人間じゃねえぞ。」
「え…?」
「ちょっと噛んだだけでわかる。お前は人造人間。偽物だ。」
「なんですって?」
「お前親いるのか?」
「いない。博士のところで育てられてきたの。」
「だろうよ。この村には昔から人が襲われると若い娘を生贄に捧げる風習があった。俺たちを宥めるためって言ってな。だけど、俺たちは別にそんなの望んじゃいない。確かに、全く人を食わないわけじゃないが、最近じゃ何百年前と違って食うものに困ることもほとんどないしな。」
「…どうして、私が人造人間だって…」
「あの酒樽の中身、ほとんど水だ。そういうことを考える奴らなら、と思ってちょっとだけ血を吸ってみたら、やっぱりそうだった。本人に人造人間だって気づかせないように育てるのが大事らしいな。臓器提供かなんかにするんだろう。まあ、でも所詮偽物ってことで、こういう時には真っ先に処分されるんだ。俺たちと同じだ。昔は、用心棒だなんだって便利使いしといて、不要になったら化け物扱いだ。それでちょっと人を襲ったらこのざまだ。」
「そんな…」

そう言われてみれば思い当たる節はある。私は、再び「化け物」の顔をライトで照らし、まじまじと見た。確かに鋭い牙の生えた口は狼のようだったが、その目には知性と実直さが宿っていた。嘘をつくようには思えない。私の体は震え始めた。化け物が怖いからではない。
「憎いか。人間が。」
「…はい。」
「さっき『全く人を食わないわけじゃない』って言っただろう。別に必要があれば襲うことだってあるんだ。…ついてくるか。」
「はい。」私は、暗闇の中、「化け物」の後をついて歩き始めた。


出題者:
参加するには または してください
パトロン:
アシカ人参
と 匿名パトロン 3 名
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Cindy