とある村に、人を喰らう化け物がいた。村人たちは、化け物を鎮めるため、生け贄を捧げることにした。
生け贄には、カメコという名の美しい娘が選ばれた。彼女は酒と一緒に供物として捧げられた。
震えながらカメコは待った。夜が更けた頃、化け物は現れた。死を覚悟したカメコはしかし無事だった。
一体どうしてだろう?
(メラさんのリサイクルです。)
転載元: 「【酒ますか?リサイクル】Mr.Moonlight」 作者: ZENO (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5465
【一行解説】
化け物は下戸なので、酒でベロンベロンになったカメコを食べられなかったから。
【ストーリー】
カメコはその美しさから受ける印象とは裏腹に、無類の酒好きである。酒豪と名高い村の男連中を相手に、飲み比べで一度も負けたことがないくらいだ。
そんな彼女がじゃんけん大会で生け贄に決まった時、村のみんなは当然申し訳ない気持ちでいっぱいだった。「せめて最後くらいは大好きなお酒を死ぬほど飲ませてあげたい。」という理由で、カメコを「酒と一緒に」供物として捧げることにした。まあ「死ぬほど」って、実際死ぬんだけどさ。
儀式の当日、酒の入った一斗樽とともに村外れに捨てられたカメコ。恐怖と寒さに震えるカメコは、すぐさま酒を飲み始めた。村人たちのせめてもの厚意だろうか、極上の大吟醸だった。
「あの時パー出してればなぁ・・・。死にたくないよぉ・・・、でも、めっちゃ美味しいよぉ・・・。」
もう何もかも忘れたいカメコは、無心で酒を飲み続けた。最初は柄杓で飲んでいたが、しまいには一斗樽に顔ごと突っ込んで飲んでた。もうどうにでもなーれ。
さて、夜が更けた頃に例の化け物が現れたのだが、実はこの化け物はとんでもない下戸で、人間でいうと奈良漬けで顔が真っ赤になるレベル。これまでは化け物に生け贄を捧げる時に酒を持たせたことが無かったので、村人の誰もそのことを知らなかったんだね。
化け物の姿を認めたカメコは死を覚悟したが、当の化け物はベロンベロンに酔ったカメコを一瞥するや、「うわっ、酒くせえ!喰えたもんじゃねえ!」と一目散にその場を離れたのだった。
翌日、事の顛末を知った村人たちは、酒を飲めば化け物に喰われなくて済むことを知って大喜び。それ以来、この村から化け物の被害者が出ることはなく、村中からカメコを英雄と称える賛辞が後を絶たなかったという。
だが、当の本人は「・・・うっさい・・・。頭に響く・・・。死んだほうがマシだったわ・・・。」とのこと。