売れっ子だった頃は、買い物に行っても欲しいものはなんでも手に入った女。
誰もが競って入手したがる人気アイテムでも、事務所の力ですぐに手に入った。
その後、女はやむなく現役を引退することになった。
買い物に行っても以前のように優先的に物は買えなくなってしまったのだが、そんな今の方が、楽に手に入りやすいものがあるという。
それはなんだろう?
転載元: 「【二物衝撃No.20】black card is my business card」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/9451
*駐車場の空きスペース(障害者用)。
女が引退を余儀なくされたのは、交通事故に遭ったからだ。
女は片足を失い、一時は半身不随となった。
現役を引退した今、契約事務所の力で、争奪戦になるようなブランド物の新作を優先的に取り置いてもらうような特別扱いはしてもらえなくなった。
しかし、駐車場だけは別だ。
障害者用の枠は、必ず用意されている。しかも店に入りやすい便利な場所に。
まあ買い物には便利なのでこれで良いのかもしれない。
今更、最新作を必要とするわけでもないし。
「私がそれで納得するわけないでしょ?」
彼女は、車椅子に乗ってくるりと振り返るとそう言い放った。
「えっ?」
「私がこの体のまま、独占契約を取れれば、どんな新作だって手に入るし、駐車場も好きに使っていいってことよね?」
「マダム…」
膝の上には、ハイブランドから届いた、片方だけの最新コレクションの靴が燦然と輝いていた。