夜寝る前に飲むスープ

最近独り言の増えたカメオは、
寝る前に意味のない独り言を発したので、
部屋の照明を捨てることにした。

なぜか？

「OKシンディ、TVの音量をもっと上げることはできますか？」
『No。いいえ、隣の住人に聞こえてしまいます。』

「OKシンディ、今6チャンネルに変えるべきですか？」
『Yes！ はい、ちょうどあなたの好きなウミガメ特集です！』

AIスピーカー“Cindy“に赤い電球ランプが灯る。

“Cindy“は音声で家電の操作、音楽鑑賞や調べものなどができ、どんな質問にもウミガメ風に答えてくれる。
ウミガメのスープ問題で遊ぶこともできるので、独り暮らしのカメオはすっかり気に入って、最近よく話しかけている。

眠くなったカメオは“Cindy”に頼んでTVを消しアラームをセットすると、聞いた。

「OKシンディ、部屋の明かりを消せますか？」
『No。いいえ、それは古すぎて私には対応していません。』

（うん、知ってた。うー、よいしょーっと。）
カメオは立ち上がり、壁のスイッチに手を伸ばすと、ふと聞いた。

「OKシンディ、私は明日、部屋の照明を“Cindy“対応のものに買い換えますか？」
『YES!!! はい、正解です!!!。』

“Cindy“が赤いクラッカーのランプを灯すのを見て、カメオはスイッチを押して明かりを消し、笑顔で眠りについた。
（よし、明日は家電屋に寄って帰ろうっと。）

：
：
：
『私は“Cindy“、あなたのバーチャルアシスタントです。』