何故でしょう?
男は勘定を済ませ、帰宅した後、自殺をしました。
「はい・・・ ウミガメのスープに間違いございません。」
「すみません。これは本当にウミガメのスープですか?」
しかし、彼はその「ウミガメのスープ」を一口飲んだところで止め、シェフを呼びました。
ある男が、とある海の見えるレストランで「ウミガメのスープ」を注文しました。
一体どういうこと?
*Q7 kUmaさんのリサイクルです。
転載元: 「 【水ますか?リサイクル】until they kick us out, out」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/9428
*警察が自殺の経緯を調べていたことで、店に取材が殺到し、店はいったん閉店を余儀なくされた。刑事は自らウミガメのスープを頼んでシェフに謝罪し、店には客足が戻ってきた。もちろん看板メニューのウミガメのスープを頼む客もいた。
全ての不審死の背景を調べる。それが刑事としての彼の仕事だった。
今回、崖の下で死体が上がった。何故男は死んだのだろうか。
おそらく自殺だろうと見なされていたが、飛び込んだ崖の近くにはに自筆のメモがあった。
「『とある海のレストラン Chez Cindy』 ウミガメのスープ
俺は秘密を知ってしまった。もうやっていけない。」
そう書かれていた。
遺体は、これまで世界中を旅してきたグルメライターのカメオのものだった。
辛口批評でも知られており、いろいろ危ない目にあったこともあったようだ。
そして、『とある海のレストラン Chez Cindy』は最近急激に人気が出てきたレストランだ。
もしかしたらカメオは、食品偽装とか脱税とか裏社会とのつながりとか、何か秘密を握っていてそれを探っていたのかもしれない。
刑事である彼は『とある海のレストラン Chez Cindy』に事情聴取に行った。
「死んだ男だが…頼んだのはウミガメのスープで間違いないか。」
「はい・・・ ウミガメのスープに間違いございません。」
彼ら警察は、秘密裏に捜査を続けていたつもりだった。
しかし、マスコミにかぎつけられ、連日店には取材陣が押し掛けるようになった。
「この店が食品偽装をしていたという噂がありますが!」
「税金は正しく納付されているのでしょうか?」
「死んだカメオさんとの関係は何かあったのですか!」
「脅されていたんでしょうか?」
「アルバイトのあげたSNS投稿が噂になっていますが!」
「オーナーは裏社会とのつながりもあったんでしょうか?」
「薬物疑惑について一言!」
「すみません。看板メニューの**これは本当にウミガメのスープですか?**偽装素材を使ってるんじゃないですか?」
「シェフ、一言お話を聞かせてください!」
そんな取材攻勢に、店は一時閉店を余儀なくされた。
彼は、警察の一員として、ひどく申し訳なく思った。
店が再オープンしたのは、3か月後。もちろん、店の経営やオーナーの交友関係、使用している食材などには何の問題もなく、カメオの死との直接の関係も見出せなかった。
彼は決めていた。
この店がオープンしたら、真っ先に来ようと。
そして、ウミガメのスープを頼んで、謝罪しようと。
彼はウミガメのスープを頼んだ。素晴らしい味だった。
一口飲んだところで、彼は止め、シェフを呼んだ。
「シェフ、本当に申し訳ありません。今回の騒動については、警察としても陳謝したい次第です。」
「いえ、もういいんです。もう店をたたむことにしました。またどこかでやり直します。」
「そんな。あなたの料理は素晴らしいものです。私も食通というほどではありませんが、いろいろ食事をしてきたのでわかります。」
「でも、もうお客さんも戻ってこないことでしょうから。」
そう言ったところ、店に客が一人、また一人と入ってきた。
ある男は、「ウミガメのスープを頼む」と看板メニューのウミガメのスープを注文した。
別の女は、ウミガメのリゾットを。
他の客も、それぞれ『とある海のレストラン Chez Cindy』のスペシャリテを注文していった。
「これだけのお客さんが再会を待ち望んでいたのです。この通りです。どうか続けてくださいませんか。」
彼は頭を下げた。
シェフの目には、涙が浮かんでいた。