とある番組の企画で、『もしも一億円が貰えたら何をしたいか』全国民を対象にアンケートが実施された。
なんと一番粋な使い方を提案した者には、一億円の小切手が手渡されて、願いが実現できるらしい。
さて、一億円を手に入れた人の願いは何だったのだろうか?
*重要な点は、「どのような人が」「なぜそのような願いを持ち」「どのような方法で願いを叶えたか」にあります。
そのため、出題形式はウミガメとしています。
*Q12 kUmaさんのリサイクルです。
転載元: 「【願いますか?リサイクル】'bout to take a flight」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/9386
「これまでの人生をやり直したい、やり直せた暁にはそのことを小説に書いてこの世を去る」という高齢の終身刑囚人の願い。
そのアンケートには、「私は過ちばかりの人生を送ってきました…」で始まる長文が付されていた。
そこにはこれまで自分がいかに周りに迷惑をかけてきたか、そしてそのお金を使って、学び、働き、迷惑をかけた人に謝罪し、社会に貢献したいかの前向きな思いが、切々と綴られていた。
そしてそれを叶えた際はその経験を小説にして出版し、社会に還元したいという文で締めくくられていた。
特筆すべきは、この人物が85歳だということ、そしてその文章自体が一冊の小説に値するほどの名文だったということだ。
その年齢で人生をやり直したいというポジティヴなパワーにひとびとは感銘を受け、その人物の再チャレンジを見たい、そしてその経験談を読みたいと願った。
実は、その人物が終身刑で長年投獄されている思想犯だったとは知らずに。
元々彼女は学のある人物だったので、文章などはお手のものだ。
支援者や、安泰に暮らせる亡命先も用意されている。
あとは資金だけの問題だった。
彼女の口座に振り込まれた賞金は、支援者に分配された。
脱獄劇はそれはそれは華やかなものだった。
そして今、自由が保障された亡命先の国のビーチでカクテルを飲みながら、記者に対して彼女は語る。
「賞金は脱獄とか亡命にかかる諸々でほとんど使い果たしてしまったけど、この国でわずかな余生を過ごすぐらいならなんとかなるわ。ここで人生を生き直すつもり」
「小説は書いているところよ。私が死んだら出版してちょうだいね」