朝っぱらから夫とケンカしてしまったカメコは、家事をしながらイライラしていた。
あまりに不愉快だったので、家事を後回しにしてイライラの解消に努めたところ、やがて気持ちが晴れ、笑みさえ浮かべられるようになった。
その日の午後、カメコの幼い娘がおままごとを始めた。
カメコの動作や言葉を、娘なりに一生懸命真似ているので、カメコは思わず苦笑してしまった。
ふと、娘のカワイイ「猫耳のカチューシャ」を見て、カメコは不安になった。
一体何故だろう?
転載元: 「【HBC】猫耳天使の横顔」 作者: ニックネーム (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/9064
「んもう!全然切れない!」
包丁の切れ味にイライラしたカメコは、料理の手を止めた。
別に突然切れなくなったわけではない。
多分、夫とのケンカもカメコの苛立ちに加担しているのだろう。
試しに簡易研ぎ器を使ってみたが、あまりはかばかしくない。
そこで本格的に砥石を取り出して研ぎ始めた。
シューッ シューッ シューッ・・・
研いでは切れ味を試すことを繰り返していると、包丁は力を入れずとも気持ちよく切れるようになってきた。
やがてカメコの苛立ちは収まり、笑みが浮かんだ。
「包丁研ぎながらニヤニヤしてるなんて、民話の山姥みたいね、私。」
カメコはふと、さっきケンカした夫の顔を思い浮かべ、手にした包丁を見つめた。
その日の午後、娘がおままごとを始めた。
「じぇんじぇん きでなーい!」と叫ぶと、「しゅーしゅー」と言いながら包丁を研ぐ真似をする。
その様子は可愛らしく微笑ましい。
だが、娘は何故か猫耳カチューシャを着けていて、横から見るとそれが鬼のツノのように見える。
「なぜ猫耳? まさか・・・私が鬼に見えたとか?・・・殺意がにじみでちゃったかしら・・・」
カメコは漠然とした不安を覚えた。