ある日のこと。
「全ての血液型が不足しています!」
友達と街を歩いている時、献血の呼びかけを耳にした珠梨。
「献血やってるね。珠梨、やってく?」
「あーごめん、私はちょっと…」
「あー、そっかー…」
また別の日。
「全ての血液型が不足しています!」
一人で街を歩いている時、献血の呼びかけを耳にした珠梨は、口をギュッとつぐんで、黙って走って通り過ぎた。
いずれの日も、珠梨に献血をできない理由などはなかったのだが、どうしてだろう?
転載元: 「【二物衝撃 No.13】aceleras to’ mis latidos」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/9022
*目標である、公称の体重の39kgに少しでも近づけないと。
女子大生の珠梨はYouTuber。
身長153cm、体重39kgを売りにしている…のだが、まあ、それは、半年ぐらい前の数字である。
クラスメイトのYouTube仲間の白音に勧められて、チョコミントアイスにハマり始めたのが運の尽き。
今では、ちょっとその数字から離れてしまっている。
でも、友人たちの前では、「40kgないから、献血できないの〜」と公言している。
まあ、実際は献血できる体重(こう見えて健康体だし、ピアスもしたのはだいぶ前だし、タトゥーなんてもちろんしてないし、最近海外にも行ってない)なので、一人でいる時は別に献血したっていいのだが、万が一誰かに見られたら気まずい。
いや、そんなことより、目標に近付けるように努力しないと。
隣の駅まで走るぞ。
チョコミントのことなんて忘れる。
そう心に決めて、黙って走り始める珠梨であった。