燕の巣の下には死体が埋まっている。
この噂が本当だと知った青年は、燕の巣の下で死んでしまった。
一体なぜ?
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風木守人さんの問題文のオマージュです
転載元: 「【燕ますか?オマージュ】燕の巣の下で」 作者: TATATO (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/899
★★★正解★★★
巣に棲んでいる燕を見守り続けたため
★★★解説★★★
とある小さな村の片隅に一軒の屋敷があった。元々そこには人が住んでいたのだが、住人が数年前に都会に引っ越してからというもの屋敷は空き家となっており、今では荒れ放題の廃屋と化していた。
そんな中、村に住む一人の青年はある噂を聞いた。
「村外れの屋敷には燕の巣が作られており、燕の巣の下には死体が埋まっている」
きっと悪戯好きの子供か誰かが嘘を吐いたのが広まったのだろうと青年は考えた。しかし万が一何か良くない事が起きているのであれば見過ごすことは出来ない。青年は念の為に噂の真偽を確認しようと屋敷に赴いた。
青年が屋敷に着いてその周囲を見て廻ると、噂通り屋敷の軒下に燕の巣を見つけた。そのまま視線を地面に向けてみる。
「……雛、か?」
そこには土と枯れ草に埋もれかけた小さな燕の死体があった。巣から落ちてしまったのか、はたまた寒さや飢えに耐えられなかったのか。いずれにしても、その姿は青年の瞼の裏に焼きついて離れなかった。
それからというもの、青年は懸命に働いた。昼夜を問わず働き続けた。そして数年で纏まった額のお金を蓄え、村外れの廃屋を買い取り移り住むと、廃屋に少し手を入れ風通しを良くして、燕が巣作りしやすい環境を整えた。そんな彼を村人たちは奇妙に思い近付こうとはしなかったが、燕たちは毎年春頃になると巣作りのために彼の廃屋にやって来た。それから青年は軒下に手作りの木製の椅子を置き、毎年春になるとそこに座って燕の雛が巣から落ちないよう見守ったり、時には餌を与えてやったりした。そんな風に燕たちの様子を見守る事が彼のささやかな喜びとなった。
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そうして何十年もの月日が経ったある日。
暖かな春の陽射しの中、燕の巣の下の椅子に腰掛けたまま、穏やかな表情で息を引き取る老人の姿があった。