いわくつき物件

ある街に、いわゆる事故物件と呼ばれる家があった。

この家は欠陥住宅でも立地が悪いわけでもないのに、その家に住んだ者はみな、一年もたたずに引っ越していってしまうという。

一体この家に何が起こっているのだろう？

その物件は、当初は事故物件としての知名度は低く、何人か事情を知る近隣住民が面白半分に訪れるだけだった。

だがそのマンションは、ある噂をきっかけにいわゆるオカルトマニアの中で有名な物件になっていった。

それは、「そこに住んだ者は皆次々に引っ越して行ってしまう」というものだった。

その噂の信憑性が増すにつれ、どんどんとその知名度は上がっていき、それを実際に見に行く者も増えていった。

彼らは知らなかった。

部屋から外を見た住人たちが、マンションの周りをうろつくマニアたちを不審者と勘違いし、それに怯えて引っ越して行っていることを。

「彼ら自身」がその都市伝説を生みだしてしまったことを…。