the affliction of the feeling leaves me wanting more

仁の婚約者はインターネットではちょっとした有名人だ。
コスメのレビューとかを書いたり、動画配信をしたりしている。

もちろん反響の大半はコスメ好きな女子なのだが、顔出しもしていて、しかもかなりの美人だから、下心ある男性陣からの書き込みなんかもある。

「lucioleさん、すごくコスメに詳しくて素敵な方ですね！僕は化粧品会社に勤めてるんで、今度一緒にお食事でもして情報交換しませんか？」

「恐縮ですが、そういうお誘いは受け付けていませんので、ご遠慮ください。」

「とてもおしゃれで可愛らしくて、文章もお上手ですね。いちど個人的にお話したいと思うんですが、ご都合つけていただけませんでしょうか？」

「申し訳ありません。そのような依頼はお断りさせていただいております。ご了承願います。」

…しかし。
公開されてないDMとかにはどんな対応をしているんだろう。
仁はちょっと気になった。

「初めまして！jakeと言います。lucioleさんは本当に魅力的な方で、ファンになってしまいました。
個人的にお近づきになれたらと思ってDMしました。今度お茶でもいかがですか？」

「すみません。そのようなお誘いはお断りしています。よろしくお願いします。」

「lucioleさん、実は、僕、以前ランウェイに出たこともあるモデルなんです。今は会社を経営していて、タワーマンションのペントハウスに住んでいるんですが、一度遊びに来ませんか？」

「それがどうしたというのですか？コスメの情報以外のことについては対応いたしかねますので、ご了承ください。」

「ビジネスパートナーとして、僕の会社の製品をプロデュースしてください。もちろん、プライベートのパートナーになっていただいた上でのことではあるのですが。」

「ビジネスパートナーの案件は受け付けていません。ましてやプライベートなパートナーのご依頼には応じられません。」

「単刀直入に言います。お付き合いしていただけませんか？」

「無理です。きっぱりお断りします。」

冷淡かつ誠実な婚約者の態度に、満足する仁であった。

（…はあ…バレバレだっつの。自分が脛に傷持ってるからって気にしすぎだってばw
ほんとなら「ストーカーで訴えます」ぐらい言ってやってもいいんだけど、面白いから付き合ってやるか。

引っ張るだけで引っ張って、「すみません。将来を約束した人がいますので」って言ってやろうw　仁、内心有頂天だろうなあwww
楽しいからもう少し様子見ようっと。

まって　っていうかこいつほんとはドMなんじゃ…っていうかだんだん楽しくなってきてる私がドSなんじゃ…）