自動車同士の事故が起こると○○が出るが、文字通りにはならない事が多い。
○○とは何か?
転載元: 「【二物衝撃No.7】heart will」 作者: ノーキン (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/8474
轟音(車3台が轟のように並ぶ事はまあ見かけない)
以下、お題のための茶番
私は信号待ちをしていた。
ちょっとボーッとしていたらプップッとクラクションが鳴る。夫の車だ。確かブルーバードとか言ってたっけ。運転席から手を振ってくれたので、私も手を振り返してあげた。
そんな私を見ていたせいだろう。トラックに気付かずに右折してしまった。
文字通り轟音が鳴り響く。
何が起こったのか。理解が追いつかない。身体が動けない。目の前に夫の車があると分かっていてもさっきまで夫が運転していたとは思えなかった。思いたくなかったのかもしれない。
やがて少しずつ状況を理解した私は夫の車に近寄った。
すでに車の周りには人だかりができていた。スマホで警察か救急車を呼んでいるであろう人、夫の車を轢いて気まずそうにしているトラックの運転手が立っている。
車体は無残な姿だが夫は無事だろうか。
中を覗いてみる。ガラスのヒビで見えないところが多いがどうにか顔は見れた。
思ったよりかは普通の顔だ。口から赤い糸のような血を流している以外は気を失っているだけのように見える。
嘘みたいだろ、死んでるんだぜ。
慌てて頭を振り払う。こんな時に私は何てことを思い付いてしまうのか。悪い冗談にも程がある。
サイレンが聞こえてきてパトカーと救急車が到着した。さすがに早い。夫はすぐに救助され、病院に搬送された。
「勝手に俺を殺すんじゃねえ」
回復した夫に事故当時の思いをぶっちゃけた。
「相手が電車じゃあるまいし」
ふて腐れてかわいいとか思ってしまった。
「まあ、無事で良かった」
「良くねえよ。お金どうすんだよ」
「だ~いじょ~ぶ、生きてりゃ何とかな~る!」
「軽っ、軽すぎるわお前」
「だって悩んでたってどうにもならないでしょ。そもそも事故を起こしたあんたが悪い」
「ぐっ、あんなところにいたお前が悪いんだ!」
「な~ん~で~よ~!」
「…ごめんなさい、私が悪うございました」
「よろしい」
夫と普通に会話ができる。本当に無事で良かった。