釣り好きな男。
今一番捕まえたいのは、なんと「人魚」だ。
人魚を探しにもう3日も海に通い詰めているのだが、全く収穫なしだ。
ここなら捕まえられると思っていたのだが…
「おおおおおっ!!これは!!!もしかして!!」
人魚が見つかったかもしれないという期待に、思わず声をあげた男。
…それは靴片っぽであった。
しかし、男は喜んだ。
なぜだろうか。
*ゴトーさんの【二物衝撃 No.17】マーメイドひとりぼっちからもinspireされた、シェアコードフライトです。
転載元: 「【二物衝撃 No.18】repêcher ta petite sardine【with Inspire】」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/8420
*その片方の靴は、足を手に入れた人魚姫が、舞踏会に片方落としていった物。
私は王子だ。
王族と言ったら狩をするイメージがあるだろうが、この島国ではロイヤルレジャーの代表はゲームフィッシングなのである。
あの日も私は海に出たのだが、船から転落してしまった。
そんな私を助けてくれたのが、美しい虹色の鱗を持つ人魚姫だったのだ。
以後、私はずっと彼女を探した。
私を救い上げてくれた海岸に来たらまた彼女に会えるんじゃないかと思い、もう3日も通い詰めているが、収穫は0だ。
ダメもとでお城で国中の女性を集めた舞踏会も開いてみた…が、人魚の彼女には参加は無理だろう。
私は、水平線をぼんやり眺めていた。
その時だった。遠くから家来が駆けてきた。
「王子、これをご覧ください!」
なんだ、これ…靴?片方だけの?
11cmのスティレット。
かわいそうに、靴擦れを起こしていたのか、内側には血の染みまである。
歩くどころかこれで踊れるんだから、女とはすごいものだ。
「舞踏会に片方だけ残ってたんですよ。でもご覧ください!!」
家来が片方の靴を振ると、中から…美しい虹色の鱗が出てきた。
「おおおおおっ!!これは!!!もしかして!!」
「もしかしたら、あの人魚姫は人間の足を手に入れて、王子様を探しに来たのではないでしょうか。」
よし、そうなれば話が早い。
この靴に合う足の女、それも足に傷のある女を探そう。
それにしても、まだ人間の足を手に入れて日が浅いだろうに、こんな靴を履くトレーニングまでしたのか。
舞踏会に行きたい一心で。
私は、片方だけのスティレットをぎゅっと抱きしめた。
*実は、ちょっぴり良心的な設計図さんの足が好きもinspire元。そしてもちろん、シンデレラと人魚姫も。