うちの施設の利用者さんで、ちょっと不安な人がいるんです。
不安というか、不穏?不思議?でしょうか。
*あまり言葉はお話しにならないのですが、時々訳のわからない言葉を呟いていることがあります。
挨拶の時とか。
日本人の方なんですけどね。
*基本的に言葉は理解しているようなのですが、名前をお呼びしても、反応しないこともあったりします。
*外出したときに車に轢かれそうになることが時々あります。
*普段は穏やかな方なのですが、突然不機嫌そうな様子で、外に飛び出してしまったこともあると聞いています。
*施設の庭で、ぼんやり鳥や飛行機を見ていることもあります。
*時々遠くの空を眺めて、手を合わせていることがあります。
特に何か信仰しているとか、宗教をお持ちだとは聞いていません。
あまり意思疎通もできないので、困っているのですが、どうしたらいいか教えていただけませんか?
*この問題は亀夫君です。主人公にはYES/NOで答える以外の質問もできます。また、簡単な指示ならできることもあります。「利用者さん」に直接質問や指示はできません。
*百人一首 その七十【さびしさに やどをたちいでて ながむれば いづくもおなじ あきのゆふぐれ】からのinspireです。
転載元: 「’til they cover me in daisies, daisies, daisies」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/8341
*「利用者」は、若い頃から海外での生活や出張が多く、国際貢献に尽くした女性。
gattabiancaのレギュラーキャラ逆瀬川雲雀の晩年である。
数年前に夫を亡くし、脳機能障害を患った結果、自ら言葉を発することは難しくなっている。
一人娘の玲美は海外に住んでいる。
年齢相応の認知機能の衰えもあるが、身体的には概ね健康で、普段は情緒的にも落ち着いており、自分で言葉を発すること(アウトプット)が困難なだけで、周りの言語情報の理解(インプット)は比較的問題なくできている。
*舞台は206X年。人手不足のため、老人介護施設においては、多くの部分をロボット・AI等に任せている。なので、ほとんどのことは監視機械からの「行動報告」として上がってくる。
*個人情報に対する意識の高まりから、利用者の個人的な背景や生活歴は、個々の職員には特に知らされないし、職員もそういうものと思っているため、それを進んで調べようとはしない。
利用者の個別対応は、その利用者の行動パターンを見て、AIが判断して行う。
そこに、個人の生活歴の影響はあまり加味されない。
*最低限必要な「人間的触れ合い」の部分のみ、人間が行なうが、その大部分は海外からの研修生により占められている。
*利用者(逆瀬川)の個人的背景に思いを寄せ、なぜそういう行動を取ったのか考え、気付いてもらうことが必要。
個々の行動について説明がつくことをFA条件とするが、最終的には、「海外からの研修生に外国語で呼びかけてもらう」ことを最終目的とする。
*行動の背景となっている状況は以下のとおり。
・時々わからない言葉を発することがある。→若い時に学んだ外国語が、時々混乱して出てくるため。特に挨拶は数多く様々な滞在先の言葉を学んできたため、いろいろな言葉が出てくることがある。
・名前を呼んでも反応しないことがある。→豊津氏は、逆瀬川のことを、「高槻さん」と呼ぶが、それは彼女の現在の戸籍上の名字である。逆瀬川は、仕事中ずっと旧姓を使い続けた。これまで呼ばれ慣れない姓でいきなり呼ばれても、反応できないことがある。
・車に轢かれそうになる。→右側通行の国で生活・仕事することが多かったことから、若い頃の記憶が蘇ると、時々自分がどちらにいるのか、外に出た瞬間にふとわからなくなることがある。
・不機嫌そうな顔で出ていく。→調べていくと、それは、社会問題について尋ねられたことであることが判明する。この施設では、利用者に社会的な関心を持ってもらうことを目的として、ニュースを視聴させたりすることがある。彼女が生涯をかけて尽くしてきた民族問題や経済格差、災害からの復興、環境破壊、教育支援などについて説明されるたび、「そんな簡単な問題じゃない」とプロとしてのプライドが黙っていなかったものと考えられる。にもかかわらず、発語が不自由で、気持ちを伝えられないもどかしさもあったのかもしれない。
・鳥や飛行機を見る。→海外で活躍していた昔のことを思い出し、また自由に飛び回りたいという夢を描いている可能性がある。そして、単純に鳥が好きということもある。
・遠くの空に手を合わせる。→もはや自分が何一つできない存在になってしまっていたとしても、それでもなお、彼女は世界がより良くなることを願う。
「そうでしたか。
私たちは、個々の利用者さんのことにはあまり深入りするべきではない、との教育を受けてきました。
そんなことをしていたら、仕事が回りませんからね。
日頃の行動パターンからAIが適切な対応をしているので、問題ないだろうと思っていました。
実際、AIを導入してから、事故は圧倒的に減りましたしね。
でも、それが本当に利用者さんの幸せなのか、よくわからなくなってきました。
高槻さん…逆瀬川さんはそんな方、そんな人生を歩んできた方だったのですね。
もう少し早く知っていれば良かったと思います。もう限られた時間なのですし…。
いえ、余命わずかとか、そんな失礼なことを言ったわけではありません。
先ほど、海外で暮らすお嬢さんから、一緒に暮らさないかと手紙が来たんです。
こちらで良いドクターも福祉サービスも見つかったから、と。
この年で海外移住?と心配したのですが、そのような方なら、問題はないでしょうね。
あ、クリスティーナさん、この手紙を高槻さん…雲雀さんに、渡してくれる?きっと喜んでくれるよ。」
*舞台は206X年の日本。老人福祉は多くAIと海外からの研修生の手に委ねられている。
高槻(逆瀬川)雲雀:gattabiancaのレギュラーキャラ。この問題時点では90代前半。
謎の国際協力機関で勤務していたが、仕事は20年以上前に引退。数年前に夫を亡くし、脳機能障害の後遺症を患っている。
豊津礼音:老人介護施設「すこやかうみがめ園」の事務長補佐。32歳。
事務長補佐であるが、正規職員は6人程度しかいないので、ほぼ全員役付きである。
仕事の内容は、主にAIと研修生からのレポートをチェックすること。
クリスティーナ(ティナ):「すこやかうみがめ園」に海外から来ている研修生。
明るく、よく働く。
出身は、たまたま逆瀬川が若い頃駐在していた国だったようだ。
逆瀬川玲美:ウミガメ好きの女子大生であった玲美も60歳になる。
海外でパートナーとともに生活している。
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