2択で悩むときはいつもコインを投げて決めてきた。
そう話す女に対し男は「彼女は自分の思うままに生きているのだな」と思った。
男がそう思った理由は?
*Q10 むたびりすさんのリサイクルです。
転載元: 「【占いますか?リサイクル】landed with its head dancing」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/8197
*世界中自由に旅して回って入手してきた、様々な国のコインを投げていたから。
ある日、どちらの店に入るか悩んだ彼女はこう言った。
「じゃあこれで決めましょう」
そう言って彼女が放り投げた硬貨。
アイルーリス共和国の1リリア硬貨だった。
留学していた頃に、一人でふらりと出かけた国だという。
8年ほど前、大国に合併されたはずだ。
別な日。どちらの靴を買うか迷っていた彼女はこう言った。
「じゃあこれで決めましょう」
バイマオ民主主義共和国の5ミャウ銅貨だ。
今は内戦が続きなかなか旅行も難しいようだが、バックパッカーをして立ち寄ったらしい。
その時知り合った男は今どうしているんだろう、とか懐かしげに呟いていた。
また別な日。
コーヒーか紅茶かで悩んだ挙句、彼女はこう言った。
「じゃあこれで決めましょう」
ルッセカット王国10センティアム銀貨をきらりと投げ上げた。
美しい自然の、最後の楽園とも言われる島国で、訪れた外国人はほとんどいない。
仕事の関係で知り合ったそこの王族に招かれて、2週間滞在したとかなんとか言っていた。
「本当に優柔不断でダメなのよね。私。もう少しキラキラと自由に生きたいものだわ」
人は自分のことをよくわかっていないものだ。
誰より自分の思うままに生きてきた彼女のことを、僕は羨望の眼差しで見ていた。