Aの昼の仕事は手袋を片方路上に落とすことである。
もう片方の手袋は家に持ち帰り、落とす手袋はAがはめているものも含めて、全て種類が異なるらしい。
Aは夜になったら何をするのだろうか?
*Q12 kUmaさんのオマージュです。
転載元: 「【分けますか?オマージュ】tonight I will return」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/7889
*手袋を拾って届けてくれた男性と、踊る。(会う、デートするだけでもFA)
プリンセスの暮らしなんて、退屈だ。
あの人は、忙しくてほとんど帰ってこない、政務に会議、会食に狩り、そして綺麗な女性たち。
別に、私が何をしていようが、気にする様子など、ない。
仮面舞踏会は楽しい。
だが、自分が誰か相手にわからないのは、気楽だが、ちょっとつまらない。
それで、私は、ある方法を思いついた。
私が昼にする「仕事」は、出会っためぼしい青年貴族の前で、片方レースの手袋を落とすことだけだ…その夜の舞踏会会場を記した小さなカードともに。
あとは、ただ、彼らがその手袋を返すために、舞踏会にやってくるのを待っていればいいのだ。
もちろんそんな誘いに乗らない男もいるが、自分で言うのもなんだがこの美貌だ。
9割の男は手袋を片方持って、夜に戻ってくる。
同じ柄の手袋を持った女性がどこにいるのか、気が気でない様子で探す着飾った男の姿は、正直なかなかの見ものだ。
このアイディアは、元はと言えば、あの人が片方靴を落としていった私を探し当てたことからヒントを得た。
なんて皮肉なんだろう。
3年も経てば、こんなに妻のことなんてどうでも良くなってしまうのか。
手袋は、それを持ってきた貴族の名前と一緒に、大切にコレクションしてある。
万が一、前回の手袋を持って現れる人がいては困るので、毎回手袋のデザインは変えている。
…ああ、向こうから今夜のお相手モンタジュール侯爵がやってきたようだ…小鳥と薔薇の刺繍に、パールとピンクサファイアをちりばめた手袋を片方だけ握りしめて。