小学生のカメオの部屋にはトランプが1セットあるのだが、カメオはとある目的のためにスペードの絵札のカード(♠J、♠Q、♠K)だけ他のカードとは分けて保管することにした。カメオの目的は特定のトランプのゲームとは関係がないのだが、彼の目的とは何か?
*Q5 おっさんのオマージュです。
転載元: 「【分けますか?オマージュ】he may lay the queen of spades」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/7850
*引っ越して行った友人に、また帰ってきたら一緒に遊ぼう、というメッセージ。
カメオは大人しく、几帳面で生真面目な子どもだ。
決していじめられるタイプではないが、全く目立たず、声をかけられるタイプでもない。
一人でいるのが好きだった。
だから学校でも家でもいつも一人で過ごしていた。…たった一人、隣の家のカメコを除いては。
「カメオ〜 今暇?遊びに行っていい?」
カメコは、カメオとは正反対で、明るく、男女ともに友達も多い。だから学校では常にいろんな子と遊んだりおしゃべりしたりと忙しく、カメオに絡んでくることは滅多にないのだが、放課後になると、カメオの家によくやってくる。
「うち両親とも帰り遅くて暇だからさー そっち行くね?」
余計なことを。一人で漫画を読んでいる方が気楽なのに。
でもそれを言い返す勇気なんて、カメオにはなかった。
「なんかやって遊ぼうよ。あ、トランプあるじゃん。やろう?」
そう言うと、カメコは強引にトランプを取り出してシャッフルし始めた。
「二人で…?」
「そう。二人でも遊べるの、いろいろあるんだってば」
そんな具合で、週に2−3回はカメコがトランプをしにカメオの家に来るようになった。
そのうちに、
「今度、弟つれてきてもいい?」
「いとこのミクも来たいって言ってるんだけど」
「あ、ツカサとかミキトとかリョウとかリリカとかも一緒でいい?」
と、きょうだいだの親戚だの友達だのを連れてくるようになった。
おい、誰の家だと思ってるんだよ。
もちろん、カメオにはそんなこと言えない。
でも、みんなで遊ぶのも結構楽しかった。
ちょっとずつ、話せるようにもなってきたような気がする。
一人でいるのはもちろん楽しいけれど、他の人といるのも楽しいな。
…やっぱりカメコが一番話しやすく、一緒にいて楽ではあるのだけれども。
そして、みんなが帰ると、几帳面なカメオは、丁寧にスベードのKから順番にQ 、J、10…とデッキを揃えて箱にしまうのだった。
「あ、私、転校することになったから。」
そうカメコに言われたときも、もちろんカメオは何一つ気の利いたことを言えなかった。
「あ、そうなんだ。」
「何それ。寂しいとかないの?まあ、言ってもそんな遠くじゃないし、おばあちゃんもこっちにいるから、長い休みの時とかは帰ってくるけど。
…でも、今までみたいにしょっちゅうは来られないかな。」
「ふーん」
「何その言い方。ひっどw」
引越しの日、カメオは隣の家からトラックに荷物が積み込まれる様子をぼんやり見ていた。
そして、とっさにトランプのデッキから数枚カードを掴むと、家を飛び出した。
「カメコちゃん。」
「え、何?」
「これ保管しといて。」
「何これ…トランプ?これじゃ遊べないじゃん。」
「いい。カメコちゃんが戻ってくる時持ってきたら、みんなで遊べるから。だから、忘れずに持ってきて。」
「わかった。次に帰るのは多分冬休みだから。その時に、また持ってくるね!みんなで遊ぼ!」