カメオは落ちている髪の毛が大嫌いだ。
短い髪の毛ならばまだいいのだが、長さが10cmを超えると嫌悪感が募る。
自分の髪の毛が落ちているのも許せないので、常にスキンヘッドである。
カメコは美しい黒髪が評判の美女だったのだが、カメオのことを好きになって一念発起し、バッサリと散髪してベリーショートにした。
元々カメオとは趣味が同じで気の合う同士だったため、その後の猛アタックで恋人同士になり、やがて夫婦になった。
カメコはとても綺麗好きだったので、結婚後にカメオが髪の毛の件で嫌な思いをすることは、ほとんどなかった。
ある日のこと、たまたまリビングの床に落ちていた黒い糸を見たカメオが、大きな悲鳴を上げた。
「髪の毛かと思ったよ。そんなはずはないのにね。」
カメオはそう言って、黒い糸を拾いながら照れたように笑った。
その様子を見ていたカメコは「久しぶりに髪を伸ばそうか」と考えた。
一体何故?
転載元: 「毛嫌いと溺愛」 作者: ニックネーム (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/7692
金婚式も間近になり、カメコの髪は今や真っ白だ。
カメオは黒い糸には気づいたが、一緒に落ちている白い糸には気づいていない。
多分老眼のせいだろう。
ならば、白髪が抜け落ちていても、カメオに不快な思いをさせる心配はないかもしれないとカメコは思い、久しぶりに髪を伸ばそうかと考えた。