断じてパクリではない

街中を歩いていたAさんはふと、とある料理店が目に入り立ち止まった。
どうやら最近オープンしたばかりのようである。店の看板には
「古今東西から仕入れた品をふんだんに使った最高のオリジナル料理を提供します」
という謳い文句が書いてある。
気になったAさんは店に入り料理を一つ注文した。
しばらくしてAさんのもとにシェフによる渾身の一皿が運ばれてきたのだが、それを見てAさんは強烈な既視感を抱いた。
その後料理を食べ終えたAさんは疑念が確信に変わり、「この店の謳い文句は伊達じゃないな」と感心した。
なぜ？

Aさんは日本人の有名な陶芸家で、注文をした店は旅先で立ち寄ったフランスの料理店。
運ばれてきた皿を見てAさんは強烈な既視感を覚えた。
料理を食べ終えたAさんは皿の底に彫られていた文字を見て疑念が確信に変わった。
この皿は数十年前に自分が日本で作った渾身の一枚だ。
後にも先にもあれほどの皿は作れなかったため、よく覚えている。
「まさか昔日本で作ったあの皿を最近オープンしたばかりのこんな遠くの店で拝めるとは・・・この店なかなかやるな？」
Aさんは感心した。