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鶯ますか?リサイクル 唄い鳥

[ウミガメのスープ]

詠み人は末期サングラス様でございます。

余寒なお厳しく、吐く息の白さに耐えながら春の訪れを心待ちにしているこの頃でございます。
さて、ある街で鶯をご覧になった殿方は早急にその街を出られました。
一体何故なのでございましょう?


出題者:
出題時間: 2018年2月21日 23:44
解決時間: 2018年2月22日 12:42
© 2018 アシカ 作者から明示的に許可をもらわない限り、あなたはこの問題を複製・転載・改変することはできません。
転載元: 「鶯ますか?リサイクル 唄い鳥」 作者: アシカ (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/752
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この物語は、西日本のとある地域に伝わる、悲しき実話でございます。
欧米列強に立ち向かうべく、軍需産業の活性化が急がれていた明治時代。
この時期は、産業促進のために鉱山開発が盛んに行われていました。
2月末頃のことでしょうか。一人の殿方が職を求めてとある街を訪れました。
咲き乱れる紅白の梅の花。木々を飛び回る鶯のさえずり。
清らかで美しいこの街に住むことを、殿方はかねてから心待ちにしておりました。


道なき道を三日三晩歩き続け、ようやく殿方はその街を視界にとらえました。
しかし安堵したのもつかの間、殿方はとある異変に気づきます。
どうしたことでしょう。あれほど伝え聞いていた鶯のさえずりが全く聞こえません。
それどころか、美しいはずの街は灰色の靄がかかり、吐き気を催すような異臭を漂わせております。
訝しんだ殿方は、口を抑えつつ街に足を踏み入れてみたものの、まるで人の気配を感じません。


慎重に街を探索していた殿方は、鳥かごの中で絶命している多くの鶯をご覧になり、ようやく何があったのかを理解しました。
実は、豊かな自然に囲まれていたこの街は、炭鉱開発によって尽く汚染されていたのです。
かつて美しい声で人々を楽しませていた鶯は、今では毒ガスを検知する道具として閉じ込められ、坑道に持ち込まれていました。
その後、掘り進める途中で大量の毒ガスが漏れ出してしまったのでしょう。
人々は我先へと逃げ出したものの、逃げ場のない鶯たちはみな息絶えてしまったのでした。



異臭の原因に気づいた殿方は、これ以上毒ガスを吸わないよう急いでその街を出られました。
うさぎ追いしかの山と歌われた里山は、明治以降、その多くが鉱山開発のために姿を消してしまったと聞きます。
沈黙の春を迎えぬよう、身近にある自然を大切にしていきたいものですね。

出題者:
参加するには または してください
パトロン:
アシカ人参
と 匿名パトロン 3 名
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Cindy