ある日あなたが目を覚ますと、真っ白な天井が目に入った。どうやら6畳ほどの個室に、ベットが一台置かれていてそこで眠っていたらしい。
傍らには20代らしい一人の女性が椅子に座っている。あなたと目が合うや否や、女性は突然ワッと泣き崩れた。
彼女の話によると、あなたは交通事故にあって生死の縁を彷徨い、2週間ほど目を覚さなかったのだそうだ。
そしてその会話により、あなたが今日まで以前の記憶のほとんどを失っていることに気が付いた。
あなたの名前は、エルナト。
そして、女性はマイアと名乗り、エルナトの恋人なのだと教えてくれた。
数日のリハビリを経て退院したあなたは、全く覚えのないアパートの自室に戻ってきた。
あなたが記憶を取り戻すための手がかりは、この「見覚えのない部屋」と「知らない彼女」に隠されているはずだ──。
***ルール***
※探索により記憶を取り戻すことが出来ればゲームクリア!
※この問題は高校生の時に某SNSで連載していた類似タイトルの小説を題材にしています。
※あなたは下記のことができます。
「思い出す」
→「○○について思い出します」のように質問欄に書き込むと、指定した○○について思い出すことができます。但し、特定のイベントをこなしていなければ思い出せない場合があります。
「見渡す」
→部屋の中で調べることができるものがないか見渡すことができます。
「調べる」
→見渡して見つけた物を調べることができます。見渡した際に調べられるものには【】が付きます。【】のない物は調べても何もおきません。
「話す」
→近くに人がいる場合や電話を使用した場合に会話することができます。会話できる人物には【】が付きます。【】のない人物と会話することはできません。
※今回は特にエンディング分岐は用意しておりません。
転載元: 「見覚えのない部屋、知らない彼女」 作者: エルナト (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/7461
久々の亀夫君問題でした。ご参加いただき誠にありがとうございます。
いつもより軽めにして軽めに出来ないのが悩みでしたが今回はきっと軽めのはず……?
アフターストーリーについては「物語」タブからどうぞ。
※ストーリー進行のためのメモ書きのようなものです。
詳しくは質問→回答の流れを読む方が良いでしょう。
部屋の中
本棚 本が数冊 タイトル「七不思議のワルツ」、「高台に忘れた物」、「初日の出を、君と。」
単なる宣伝(
机 机の上に筆記用具、携帯電話(いわゆるガラケー)、引き出し
引き出し 日記、本「カノンの奏でとあの日の君と」
単なる宣d(
日記 三日坊主で終わったらしくあまり何も書かれていない
4月5日 今日は大学の入学式、福岡から出てきてまだ数日、緊張するけど友達できるといいな
4月8日 今日から授業 同じ学科の子がすごく可愛い あぁ君はなんて可愛いいんだ
4月9日 サークル何にしようか 高校の時に引き続きバレーボールをするか 高校にはなかった天文部があるらしい 迷う
4月10日 天文部に行くとあの子がいた! 趣味が同じとか最高だな
ここから先は白紙だ
(こ、これは恥ずかしい……っ!!黒歴史だっ!!)
エルナトは慌てて日記を閉じた。
※なお、彼女は20代と問題文にある通り、この時から年単位で時間が経っております。二人は大学3年生くらい。長い片思いですね。
箪笥 服が片付けられている いわゆる地味な服が多くてそんなにやんちゃな性格ではなかったように思われる
押入れ 敷布団が片付けられている 脇になにか落ちていて調べると「学生証」
名前や生年月日はマイアに教えてもらった通り、2008年度入学で今は3回生ということが分かる。
ダンボールの中に「ヒアデスからタラゼドへ」という漫画がある。
単なるs(
キッチン 自炊はしていなかったのか調理器具はあまりない 食器棚も変わったところはない
冷蔵庫 紙袋が入っている 「食べてください」 手紙と同じ文字のよう
中身を開けるとクッキーらしきものが入っている
玄関 革靴1足と運動靴が2足
郵便受け 光熱費や家賃の催促の手紙とセールスのダイレクトメールが入っている
玄関横にカバンが置きっぱなしになっていることに気付く
カバンの中に「何かの充電器」と「財布」を見つける
財布の中にはお金が入っている
手紙が入っているのを見つける
「サークルの後、話があります 【080-XXXX-XXXX】」
可愛らしい女の子の文字のようだが、心無しか文字が震えているように思う
充電器をケータイに接続できる
ケータイの中を見ると、手紙の子の番号はない
また、マイアの電話番号も登録されていないことに気付く
※手紙の電話番号には【】を付けて電話できることを示しておく
手紙の番号にかけてみる、出たのはマイア
向こうは電話が着たことに驚く
今、ちょうど部屋の前まで来ているのだという。
玄関を開けると【マイア】がいる
退院祝いに料理を作りに来たと材料の入ったエコバッグを下げている。
ここから、推理モード
指摘すべき不可解な点は次の通り
・恋人なのに何故電話番号が登録されていない?
・部屋には調理器具がない、つまりマイアはエルナトの家に来たことはない
→マイアは恋人ではない
エルナトの記憶が蘇る。
「全部……思い出したんだね……」
ドサリと、流行りのくまのキャラクターが描かれたエコバッグが床に落ちる。
.
「マイアは…………僕の恋人なんかじゃ」
「ごめんなさい!!」
彼女は、僕の言葉を遮るようにしてそう言って深々と頭を下げた。
僕は、何も言えずに俯いた。
どうしてこんな嘘を?
ふと財布の中の手紙のことを思い出した。
理由は、分かりきっている。
分かりきっているけれど、何を話せば良いのか分からなくなっていた僕は、ようやく絞り出すようにしてそんな愚かなことを聞いてしまった。
「どうして、こんな嘘を……?」
彼女が、表情を歪めたのが分かった。やっぱり、聞くべきでなかったのだ。
追い詰められたように、彼女は部屋を飛び出した。
僕は呆気にとられ、そしてすぐにハッを我に返る。
「待って!!」
バンと勢いよく玄関のドアを開け、左右を見渡す。
左の階段からカンカンと階段を駆け下りる音が聞こえた。
すぐにそちらに向かって僕は走る。階段を降りると、アパート前の道を走り大通りに出ようとしている彼女の姿が見えた。
特に理由が思い浮かんでいた訳ではない。
ただ、記憶を取り戻したばかりの僕の脳が、彼女を追い掛けろと、そう命じているのだ。
息を切らせながら僕は走る。
雨が降り始めていることに今更になって気付いた。
彼女との距離は少しずつ縮まっていく。
あと少し──
不意に、彼女は歩道から横断歩道の方に方向を変えた。
信号は、赤だ。
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クラクションが鳴らされる。
.
僕は、必死で腕を伸ばした。
.
甲高いブレーキ音が響き、ゴムの焼けるような匂いがした。
.
.
僕の右手が、彼女の体に届いた。
.
あまりに必死だった僕は、そのまま向こう岸の歩道に転がるように倒れる。
天地がひっくり返る視界の隅で、彼女も地面に倒れるのが見えた。
トラックは横断歩道を通り過ぎて止まった。
開いた窓から運転手が馬鹿野郎と怒鳴り声を上げて、トラックはすぐに走り去った。
起き上がり、彼女を見た。
.
.
彼女は、無事だった。
.
強く打ちつけた右足の痛みに耐えながら、僕は彼女に近付き、手を伸ばす。
彼女も何処か痛むのか、すぐには起き上がろうとしない。
「なんで、助けたの」
前髪に隠れて表情は伺えない。
雨にも濡れていたのだから分かるはずもないのに、彼女が泣いていると思ったのは、きっと彼女の声が震えていたからだろう。
「いっそのこと、事故にあってこんな記憶も何もかも全部消しちゃいたかったのに」
吐き出すように、彼女は言った。思わず、僕は彼女と目線を合わせるようにしゃがみ込みこむと、彼女の両肩を掴んだ。
「ふざけたこと言うなよ!」
彼女が、ビクリと体を震わせた。
やっぱり、泣いているようだと気が付く。
「僕の気持ちも知らないで……」
僕の、気持ち──。
.
.
『その日』の朝、僕はいつも通り少し早めに大学に出た。
校門をくぐると、トントンと肩を叩かれた。
振り返ると、なぜか声を掛けた側である筈の彼女が、驚いたように慌てた。
「あの、えっと、これ……お願いします」
何やら手のひらにおさまるほどの小さな封筒を僕に渡すと、彼女は深々と頭を下げてその場を走り去った。
どうやら中には手紙が入っているらしい。
ゆっくりと封筒を開け、中の小さな紙切れを取り出す。
「サークルの後、話があります 080-XXXX-XXXX」
僕はドキリとして、すぐにその手紙から目を逸らす。
彼女の様子、そして文面から、なんとなく話の内容は想像が付いた。
決して男女の関係について経験豊富であった訳ではないが、鈍い僕でも分かる。
──いや、ひょっとしたら僕の想像したことはむしろ勘違いで、彼女に会いに行くととてもガタイの良いお兄さんに首根っこを掴まれるのかもしれない。
思い当たることのない彼女からの恨みにああでもないこうでもないと考えを巡らせ──そして、やめた。
考えても仕方がない。どうせサークルの後には答えは分かるのだ。
そう思い、一日中僕は高鳴る胸に思考を邪魔されながら過ごした。
退屈な講義を終え、ドクンドクンとその日一番の心拍数を記録していた僕はまるで万引しようとしている中学生のように挙動不審な面持ちで教室のドアを開けた。
緊張はピークに達していたが、僕の予想とは裏腹に、その日彼女はサークルには顔を出さなかった。
結局、どうしたら良いのかも分からずに僕は一人家路に着いた。
アパートの自室に戻り、僕はふぅと小さくため息を吐く。
そしてふと、今朝貰った手紙のことを思い出した。
「サークルの後、話があります 080-XXXX-XXXX」
取り乱したように僕はポケットから携帯電話を取り出し、そして手紙に書かれていた番号に電話を掛けた。彼女は今にも消え入りそうな声で、はいと返事をした。
しばらくの沈黙の後、彼女は僕のアパートからそう遠くないカフェにいるのだと言った。
僕は携帯電話を机の上に置くと、すぐに部屋を飛び出した。
階段を駆け下り、大通りまで駆け出すと、しばらくして道路の向こう側に目的地のカフェが見えてきた。
窓際の席に座っていた彼女の切なそうな横顔は、店の薄暗い照明に照らされて艶やかだ。
不意に、彼女が店の外に視線を動かし、僕と目が合った。
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思わず、道路を飛び出していた。
信号が赤だということにも気付かずに。
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僕の記憶はそこで途切れ、そしてハッと我に返る。
彼女は俯いたまま、雨に濡れていた。
確かに彼女は嘘を吐いた。
だからといって、彼女はその嘘で僕に困らせるようなことは何もしなかった。
むしろ、入院中で弱っていた僕を、そして記憶を失って戸惑っていた僕を、一生懸命に励ましてくれた。
ただ、今は『まだ』恋人ではない、というだけのことなのだ。
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大丈夫。
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だって君の嘘は、もうすぐ本当になるのだから。