娘を寝かしつけるため、私は昔話の絵本を読んであげる。
でも娘は、明日私と一緒に公園に遊びに行くというので興奮気味。なかなか寝付かない。
「明日は公園でボートに乗ろうね! ね!」
そのとき、私は不意に思い出してしまう。昔友人についた嘘を。
翌日、娘に手を引っ張られるようにしてボートに乗り込んだ私は、何かを確かめるように船べりを拳で2,3度叩いた。いったいなぜ?
転載元: 「【BS問題】ある日、とある公園の池のボートで」 作者: GoTo_Label (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/7359
昔話は「カチカチ山」。お爺さんをだまして、狸汁と称して婆汁を飲ませる話だ。
昔のことを思い出す。遭難したとき、友人をだまして、ウミガメのスープと称して人肉のスープを飲ませたことを。
スープをがっつく友人の顔が思い出される。今ごろどうしているだろうか。
繊細な心を持つ男だった。本当のことには最後まで気づかなければいい。
そして思う。やむをえなかったとはいえ、私は昔話の狸と同じようなことをしていたのだ。
(これは本当にボートだろうか? まさか泥船じゃないだろうね?)
私は何度か船べりを叩いて確かめるのだった。