「起立!礼!」
カメオは合図に合わせて、きちんと立ち上がり一礼した。
…だが、周りのチンピラまがいの連中は、立ち上がろうとさえしない。
「君たち、ちゃんとしなきゃダメじゃないか!」
学級委員タイプのカメオは、拳を握りながら注意した。
「あぁん?んだとテメコラァ!?」
切れたナイフのような険のある視線がカメオに集まる。
カメオは連中にボコボコにされてしまった。
——この件に関する、生活指導を担当する社会科教師のコメントは以下の通り。
「明らかにカメオが間違っている。カメオが悪い。」
なぜ教師はそう考えたのだろう?
転載元: 「魁!! 風雲一堂零!」 作者: 丼 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/6962
教師は、授業の準備中に『嵐魔半生記(民明書房)』を読んでいた。
戦国大名江田島家に仕えた嵐魔(らんま)一族は、情報漏洩を防ぐため「立ちすぐり・居すぐり」という方法で敵の忍者を見つけ出したのだという。
例えば、「起立!」と言ったときは座る、と決めておき、立ち上がったやつを間者として捕らえるのだ。
そのエピソードとして、馬鹿正直に立ち上がり礼をした敵の忍者「亀緒」が取っ捕まってボコボコにされた話が書かれていた。
教師は「明らかに亀緒が間違っている。亀緒が悪い。」と考えた。