新緑の季節だというのに
近場の山に紅葉狩りに行こうと
息巻くカメオ。
一体何故だろう?
*Q11 タカシンさんのリサイクルです。
転載元: 「【狩りますか?リサイクル】as the leaves turned brown」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/6908
:もう二度と紅葉を見ることができないと落胆する恋人に、目の手術を受ける決意をさせるため、自分が人工的に赤く染めた山の木を見せたかったから。
(タブに長文解説があります。)
「私、もう二度と紅葉を見ることなんてないのね」
「何言ってるんだアキコちゃん。手術を受ければ、また…」
「ううん、いいの。だって失敗する可能性もあるんでしょう?私怖くて」
赤く色づく山並みが大好きなアキコの視力が、だんだん衰えていったのは3年ほど前からだ。
景色がだんだんぼやけるようになり、今では物の輪郭もぼんやりとしているらしい。
昨年の紅葉は、ほぼ色しか見えていなかったようだ。
「わかった。じゃあ来週の週末、**紅葉狩りに行こう!**な!」
「何言ってるのカメオ。まだ5月よ?」
「大丈夫だって。そのかわりそれ見たら絶対手術受けろよ?約束な?」
アキコは病室のベッドで、そんなことを息巻く恋人カメオの言葉を話半分に聞いていた。
そしてその週末。病室にやってきたのはカメオ…ではなく、友人のウミオだった。
沈んだ表情でウミオは言った。
「一緒に紅葉狩りに行くことができなくてごめん、でも、俺の気持ちを受け取ってほしい、ってあいつは言ってた。だから、見てやってくれ。」
そう言って病室のカーテンを開いたウミオ。そこには赤く色づいた山が映っていた。
「嘘…でしょ…」
「あいつの気持ち、受け取ってやってくれ。あいつ、本当に馬鹿なやつだけど、アキコちゃんのことはまじで心配してた…」
「何やってるの…Oヘンリー気取りなんて柄じゃないわよ…」
アキコは泣き崩れた。
「だから、あいつのためにも、手術受けてやってくれよな。」
(ふう…手術は成功したのかな…私、ちゃんと約束守ったよ、カメオ。私が目を開けた時、もうそこにあなたはいないけど。もし見えるようになっていたら、あなたの分まで、紅葉も、他の美しい景色も目に焼き付けていくわ。そして、見えなくなっていたとしても、あなたの思いは決して忘れない。)
そう決意して、目から包帯を外したアキコ。
そこにいたのは…カメオであった。
「きゃーーー!あんたなんでいんの??」
「ちょっとそれひどくない?いや、病室から見える範囲だけでも、山の木をスプレーで染めるの結構大変だったんだよ?ばれないように1日でやらなきゃいけなかったし。そうしたら、結局警察に見つかっちまってさ。一応水で洗い流せるスプレー使ったからか、なんとか刑務所には行かずに済んだけど、結構罰金高くって、そのあと昼も夜も働いてたんだよ、俺?まあアキコちゃんのためだからさ。でもこれで手術受けて目が見えるようになったんでしょ?良かった良かった。…ってどうしたの?アキコちゃん?」
「ざけんな」
はっきりと焦点の合うようになったアキコのパンチは、しっかりとカメオを捉えていた。
*メラさんの問題のインスパイアです。
メラさんどうもありがとうございました。