謎の国際協力機関で働く猫山御影が学生時代、留学中に、インターンとして会議の手伝いにきた時のお話。
御影の仕事は、事前にナンバーを書き込んだアンケート用紙を配布し、回収する作業だ。
それ以外にも、他のインターンの子と一緒に、場内の案内や、来場者のチェック、質問対応などをしなければいけない。
いわゆる会議のサーヴィシング業務だ。
初めての国際会議なので、緊張する。
「ミカゲさん、ですか?」
「あ、はい。日本の方も出席していらしたのですね。」
「このアンケート配ったのミカゲさん?」
「あ、はいそうです。…何か問題でもございましたか?」
「いや、海外生活は今回が初めてですかね。慣れないこともあるでしょうが、頑張ってください。」
「あ、はい、お気遣いありがとうございます…」
御影は首を傾げた。
日本人なのは名札の名前から分かったとして、なんで海外生活が初めてだと気付かれたんだろう?
*微要知識です。
*この問題は、2020年10月〜の「ますか?」のお題と、「ヘラクレスの12の難行」を掛け合わせた、連作「エルコーレビアンカの12の冒険」の1問です。
この問題のテーマは、【数字 vs へスペリス達のリンゴ】です。
転載元: 「“It doesn't count man, it ain't written in ink”【遅れてきたHBC】」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/6833
数字の書き方の癖が、日本人のそれであったため。
数字は万国共通、そう思われているが、意外とそうでもない。
結構国により癖があるのだ。
海外の人の書いた数字が読みにくいのはそのせいだ。
「4」はジグザグの雷紋みたいに書く。
「7」は左の1画目はつかなくて、その代わり「1」と区別するために横に線を入れがち。
「9」はそこまで変わらないが、時計回りにくるっとゼンマイみたいに書く人が多い。
なので、日本人の書いた数字を見るとすぐわかる。
このアンケート用紙に記載されたナンバーは、明らかに日本人が書いたものだ。
数字は、本当に小さい頃に習うので、その時の癖がなかなか抜けない。
もし彼女が幼少期海外に住んでいたり、少なくとも学校で数学の授業を受けたりする中学・高校生の頃から海外にいたのであれば、海外っぽい数字の書き方になっているはずだ。
大人になってからだとiPadやパソコンが中心だから、そんなに数字を書くこともなく、日本式の数字の書き方はそう簡単に矯正されないものだ。
しかし、それにしても一生懸命に仕事しているな、あの御影っていう子。
ああいう子がうちの機関に入ってくれれば良いのだけれど。
その数年後、そう思った逆瀬川課長の配下に御影が配属されるようになるのは、また別のお話。