数学の宿題をやろうとしたミキヒコは、問題集のページを開いて驚いた。
あちこちに、引いた覚えのない線がたくさん描いてあったからである。
マーカーで描かれた線は、妙に几帳面で中途半端だった。
問題集に記名は無かったが、ミキヒコは隣席のマサアキの問題集を間違えて持ち帰ってきたのだろうと思い、大笑いした。
マーカーの線がどのように引かれていたか、具体的な状況を述べよ。
転載元: 「数学ますが 数字ません」 作者: 名無し編集者 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/6292
ミキヒコが問題集を開くと、問題文のあちこちにマーカーで印がついていた。
「何だコレ? オレのじゃないのか?」
問題集の裏表紙を見たが、記名は無い。
再び内容をあらためる。
マーカーでは普通、重要な部分を強調していると考えられるところだが、どうも様子がおかしい。
「○○を証明せよ」の「証明」の部分だけ線が引かれているのだ。
さらによくよく見ると、「証」のごんべんが塗り残してある。
几帳面に、すべて「言正 日月」となっているのだ。
ミキヒコは気が付いた。
「正明だ!」
どうもマサアキは、「証明」という単語から自分の名前を見つけ、丁寧に色を塗っていたらしい。
「なにやってんのアイツwww ヒマ人www」
翌日、ミキヒコがニヤニヤ笑いながらマサアキに問題集を返そうとしたが、マサアキはちゃんと自分の問題集を持っていることがわかった。
じゃあ、一体誰が「正明」にマーカーを!?
その後、彼らが妄想を膨らませまくったことは言うまでもないが、結局問題集の持ち主は判明しないまま、彼らの青春は幕を閉じた。