【泳ぎますか？リサイクル】I’d walk a thousand miles

カメロスは急いでいた。少しでもはやく今いる都から故郷の田舎町へと戻って妹の結婚式の手伝いをし、また都に戻ってこなければならない。都から町までの道中には大きな湖があり、湖を陸路で大きく迂回する時間はかかるが安全なルートと、渡し舟を使う天候に恵まれれば陸路よりも早いが天候や湖面状況が荒れれば危険でより時間がかかる可能性もあるルートが一般的に使われていた。しかしカメロスは湖を泳いで渡ることに決めた。特段泳ぎが得意な訳ではなく、もちろん渡し船よりも遅いし、陸路よりも時間がかかるであろうことも分かっていたのに、一体何故？
＊Q８ 中弦の月さんのリサイクルです。

単純にお金がないから。

よりによって、湖に来る直前の街でお金を落としてしまった。
船に乗るのはもちろん、陸路を行くバスに乗るのもお金がいる。

残る選択肢は、都まで歩いてお金を取りに戻るか、歩いて故郷の街に行くか、泳ぐか。
バスの通る道は専用道路であり、徒歩では行けない。
徒歩で行ける道もあるのだが、旧道でわかりにくく、泳ぐよりは少しは早いのかもしれないが、道に迷うことを考えると、土地勘のないリスクが高い。
徒歩で都まで取りに戻るのも同じぐらいの時間がかかる。

幸い湖面状況はそこまで悪くない。渡し舟は湖の一番狭い箇所を都まで最短距離で結んでいるので、なんとか泳げるだろう。
故郷の町に着いたらお金を貸してくれる人もいるのだ。
カメロスは一か八かの賭けに出て、泳ぐことを選択したのである。

（状況：泳ぐ≦（？）歩く＜＜＜舟＜バスのような感じです。）