「約束だよ? 指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます、指切った」
そう言って、鬼気迫った表情で詰め寄る女の約束を、無謀にも男は守らなかった。
その結果、男の指は、一本ずつ離れていった。
親指。小指、薬指、中指。最後に人差し指だけが残った。
唯一残った男の人差し指に痛みが走る。
しかし、とうとう、その人差し指までも離れてしまった。
女の姿と笑い声が見る見るうちに遠ざかっていく。男はそのまま倒れ込んだ。
どのような状況だろうか。
*アメミヤさんから頂戴したお題「指切り」です。アメミヤさん、どうもありがとうございました!
転載元: 「no promises, let's keep it simple」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/6055
:娘が初めて補助輪なしで自転車に乗る日。
「パパ、絶対手離しちゃダメだからね? 約束だよ? 日本ではこういうんだってママから教わったよ。『指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます、指切った。』」
娘のアイラがものすごい剣幕で言ってきた。今日は自転車の練習のために、近くの川縁にきている。
「わかったよ。パパがついてるから安心しなさい。」
最初のうちは、後ろでしっかり両手で押さえていた。両手には、右に左にぶれる感触が伝わってくる。
しかし、30分も乗っていたら、だんだんそれが感じられなくなってきた。安定して乗れているのだろう。
私は少しずつ手を離すことにした。まずは親指から。大丈夫そうだ。そして小指、薬指。
うん、もうほとんど押さえてなくても大丈夫そうだ。
最後には人差し指だけを引っ掛けて、一緒に走っている状態になっていた。そして、とうとう手を離した。
一緒に走るのをやめ、立ち止まる。アイラは一人で自転車に乗ってスイスイと走っていた。
「パパ〜、あれ、いないの?え、アイラ一人で乗れてる?やったー!見てみて〜〜!!」
笑い声を上げて、一人で自転車に乗って遠くまで走っていく娘の姿を、私は満足して眺めていた。
…ふう、それにしても、小一時間も自転車と一緒に走るのは流石に疲れるな。
私は土手の草むらに倒れ込んだ。