雲雀は、取引先との交渉の場で、それは明らかにサギだろうと思ったものの、自身の信念に反し、それはサギではないと社長に伝えた。そのおかげで仕事はうまくいき、雲雀の株も上がったという。雲雀は上司に媚を売ったり上司の言うことなら黒も白というタイプではなく、むしろものははっきり言うタイプなのだが、特に後悔している様子もない。どうしてだろう?
転載元: 「Si tu me le demandais 」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5661
「あれはツルかしら?」窓の外で白い鳥が飛び立つのを見て、来日中の仕事先の社長がそう尋ねた。雲雀は困惑した。「えー、こんなとこにツルがいるわけないじゃん。サギだよあれ。っていうか外国人日本にきたらすぐツル見られると思いすぎ。」と思った瞬間、自分の上司が当惑した表情でこちらを見ているのが視界に入った。この日本主導の一大プロジェクトのシンボルは「ツル」である。ここで相手のモチベーションを上げることがどれだけ大事であるかは、雲雀にもよくわかった。日本野鳥の会の会員でもある雲雀にとっては、苦渋の選択であったが、にっこり笑って、はっきりとこう言った。
”Oui, madame, c’est une grue. (はい、社長、あれはツルでございます。)”「まあ、こんなところでこのプロジェクトのシンボルのツルが見られるなんて良い前兆ね!きっとうまくいくわ!」と上機嫌の社長。胸を撫で下ろす上司。結果として交渉はうまくいき、咄嗟の機転をきかせた雲雀の株も上がったのであった。