A王国の王家は代々猫を飼っている。これは「猫が可愛いから」というだけでなく、王家がその役割を果たす上で猫特有の習性が役立つからだというのだが、一体どのような理由によるものだろうか?
*Q9 おっさんのリサイクルです。
転載元: 「【猫ますか?リサイクル】you could end up as the only one」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5311
:自由気ままで人間よりも偉いと思っている猫様にお仕えすることで、謙虚さを忘れないようにするため。
ラテラオス王は、王族として成人と認められる15歳の誕生日に、娘のカーメリータ王女を自室に招いた。舌足らずでお転婆だった王女は、今や、輝かしい美しさと気品に加え、その聡明さと勇敢さにおいても広く国民に知られていた。王子である兄たちより、彼女の方が王位にふさわしいと考える人も少なくなかった。
「カーメリータよ、我が王室がなぜ1000年以上にもわたってこの国を統治できているかわかるか?」
「それは民の信頼あってこそです。」
「そうだ。そのために我ら王族に必要なもの、それは謙虚さと分別だ。我々王族には、褒めそやし、阿ってくる臣が大勢いる。しかし、それに慢心すれば、王族は傲慢になり、民の信をうしなう。そして、我々を真に支えてくれるものと、都合よく利用するものの分別がつけられなくなり、足元を救われるのだ。歴史を見れば明らかであろう。」
「ですが、父上、そのためにはどうすれば…」
「そこで猫だ。」
「猫?」
「見よ、この自らが一番偉いと思っているかの様な生き物を。食事を出したからと言って必ずしもその者を一番慕うわけではない。こちらが多忙な時には相手をしろと要求するくせに、余裕ができて構おうとすれば知らん振りをする。重要な国家機密書類を開けばその上で寝る。会議の席にも尻尾をあげて登場する。ひどいとそのあたりで粗相をする。それでいて、小動物を追うぐらいで、牛馬に比べればこれといって役に立つわけではない。そして、どれほど愛情を注いでも、必ず我らを置いて先立つのだ。もはや人々に『仕えられる』一方で、他人に仕えることのない我々王族にとって、この理不尽な生き物だけが、『お仕えする」対象なのだ。そして、その謙虚さにより、我がタルタルーガ王室はこれまで栄えてきた。わかるな?」
「わかりました。私カーメリータ、このプレット様にお仕え申し上げます。」
そう言って、白いドレスに毛がつくことも厭わず、艶々とした黒猫を抱きかかえるカーメリータ王女。そのあまりの神々しさに、全国民がひれ伏したという。