「冬美元気出しなよ」
「…そうだね。でももう彼は私の隣にはいないんだ、ってしみじみ思う。」
「またいいこともあるよ。ところで、これから帰るの?車?」
「いや、いつもよりゆったり電車で帰ろうと思う。しみじみ思い出でも噛みしめながら。」
「あ、それがいいよ。そんな状態で車運転したら事故るからね?」
「あはは、そうだね。ありがと、レナ」
私はこの会話をひどく後悔した。どうしてだろう?
*Q1 セルフオマージュです。
*そんなにメジャーではないかもしれませんが、一応元ネタがあります。
*一人称で書いていますが、亀夫君ではなく、一般のウミガメのスープ問題です。
転載元: 「【終わりますか? オマージュ】Train of thought」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5240
「寝台車の個室で女性の遺体発見。側に箱に入った遺書も発見され、自殺の可能性が高いとのことで警察は…」
冬美、こと糸川フィニステール冬美は幼なじみだ。冬美のお父さんが日本人だって言うこともあって、私も日本語に関心を持って、勉強するようになった。冬美との会話は半分ぐらい日本語でできるようになっていた。冬美は大都市で働いていたが、年に何回かはこの街に帰ってきていた。
冬美には、ボーイフレンドがいた。結婚も考えているとかで、とてもうまくいっていた。それが3か月前だったか、急に病いに倒れ、亡くなった。きっと冬美は落ち込んでいるのだろうと思ったが、一見すると元気そうだった。あの日、私と別れてから、冬美は電車に乗った。いつもの安い座席じゃなくて、一人でゆったりと個室寝台を取って。そこで、冬美はゆったり彼への思いをしたため、綺麗な小箱にしまった。そして、車掌に水をお願いすると、ゆったりと睡眠薬を飲んだのだろう。目を瞑ればその姿がありありと目に浮かぶ。その電車は、冬美の働く街ではなく、亡くなったボーイフレンドの故郷に向かう電車だったらしい。
それにしても、「ゆったり電車で」にそんな意味があったなんて。ゆっくり時間をかけて帰る、というぐらいの意味だと思っていた。今でも私は、ゆったりとゆっくりの使い分けがよくわからない。
*松任谷由実の「コンパートメント」という曲を題材にしました。このとおりかなり重い内容の歌ですが、とても美しい描写の歌詞です。