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SCP-774-CD

[新&形式]

SCP財団に所属する諸君。
未知のSCPと思われる現象を調査していた職員に、何らかの異常が生じたようだ。
これから君たちは、現地のDクラス職員との無線通信から、SCPの正体を探って欲しい。
正体を全て解明したと判断したら、【本部】当てに、SCPの正体について簡潔に説明をして欲しい。
それで、君たちの任務は終了だ。

こちらに及ぶ危険性を最小限にするため、それ以外の連絡には応答しない。
では、健闘を祈る。


出題者:
出題時間: 2020年12月18日 23:46
解決時間: 2020年12月19日 15:41
© 2020 アシカ 作者から明示的に許可をもらわない限り、あなたはこの問題を複製・転載・改変することはできません。
転載元: 「SCP-774-CD」 作者: アシカ (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5239
タグ:

アイテム番号:SCP-774-CD
オブジェクトクラス:Euclid
特別収容プロトコル:SCP-774-CDを捜索する人員は必ず、長距離GPS追跡装置と通信機器を装備しなければなりません。SCP-774-CDがいると思われるレストランを発見した場合、 女性の職員が店内を確認し、中にいるシェフがSCP-774-CDであることを確認してください(2020年12月現在、SCP-774-CDは■■■■であることが判明しています。音声記録参照)。その後、速やかに店内立ち入り禁止の措置を取るとともに、SCP-774-CDが消失するまで監視を続けてください。

説明:SCP-774-CDは、海岸沿いのレストランで働くシェフです。SCP-774-CDは既存のレストランに出没するほか、突如として海岸沿いに出現する未知のレストラン(SCP-774-CD-1)に出没することもあります。これらは共通して、店内から海を一望することができるという特徴を有しています。

SCP-774-CDが働くレストランに入店した男性は、質問に対して「はい」、「いいえ」、「はい,いいえ」という返答しかできなくなります(シェフは例外なようです。音声記録参照)。調査の結果、「はい」は肯定を、「いいえ」は否定を、「はい,いいえ」はどちらとも言えないか、関係ないという意味を示していることが判明しています。これらの応答は、男性の母語に依存しています。なお、声の強弱やニュアンスを変化させることは可能なようです。さらに男性は、例外なく以下の行動をとります。すなわち、

①店内でメニューを開き「ウミガメのスープ」を注文する。
②「ウミガメのスープ」を一口飲んだところで止め、シェフを呼ぶ。
③男性は「すみません。これは本当にウミガメのスープですか?」と尋ね、シェフは「はい…ウミガメのスープに間違いございません。」と応答する。
④男性は勘定を済ませ、帰宅した後、自殺をする。

このほか、入店した段階で、男性の過去に次のような情報が追加されます。すなわち「昔、家族と一緒に海を出る時、船が海賊に襲撃され、食料を含めてほとんどのものを奪われた。自分の家族を含めて、たくさんの人が食料切れで命を失ったが、餓死寸前に男が船長に「ウミガメのスープ」を飲ませていただいたから辛うじて生き延びてきた。一生忘れないほどの味だった。」というものです。
店内で「ウミガメのスープ」を口にして、「以前飲んだものの味とあきらかに違う」と気づいた男性は、シェフとの会話を通じて、自分が過去に飲んだスープは、本物の「ウミガメのスープ」ではないと理解します。その後、男性は絶望して自殺します。

これら一連のストーリーは、ポール・スローンの著作” Lateral Thinking Puzzles”において語られる「ウミガメのスープ」という事例に酷似していることが確認されています。店内でこの事実に気づいた男性のみ、自らの異常性を自覚することができます。ただし、先述の行動を取る以外には、店外に出る方法は存在しません。また女性(正確には性自認が男性でない者)は、上記の異常性が発現しないものの、異常事態を認知できないことが判明しています。

無線通信から■■分後……

シェフ「……どうやら、ようやく異常に気づいたようですね」

■■■■「……」

シェフ「けれども残念ですが、あなたはスープを飲む以外に、ここから出る方法はないのですよ」

■■■■「……」

シェフ「これまで数えきれないほど多くの方が「ウミガメのスープ」を注文し、絶望した顔で去って行きました。原因は分かりません。しかし、口元を抑えて嗚咽する姿や、頭を抱えて神に懺悔する姿を見るたびに、私は罪悪感で胸が潰されるような思いをしてきました」

■■■■「……」

シェフ「しばらくしてから、私自身も異常であると気づきました。いつからここで働いているのか、全く記憶がないのです。私の知る世界は、穏やかな海を臨むこのレストランだけ。外に出ようとすると、足がすくんで動けなくなります。外の世界が、怖くてたまらないのです。誰一人知り合いもおらず、自分が何者であるかも分からない。私の存在理由は、飲んだ人を絶望させるスープを作ることだけ…」

■■■■「……」

シェフ「…取り乱してすみません。初めて話を聞いてもらえたので。でも、これで信じてもらえたと思います。スープを飲むしか、ここを出る方法はないのですよ」

さらに■■分後……

シェフ「…あなたほど諦めの悪い人は初めてです。無理ですよ、ここから出るのは。ちょっと、窓に椅子を投げないでください!あ、コラ。勝手に厨房に入らないで。え?その包丁をどうするつもりですか……まさか、私を殺すつもりじゃ……キャーーー!!」

シェフ「疲れました。まさか全部の包丁を窓に投げつけるとは。この店は強盗でも入ったんですか。傷だらけですよ。明日からどうやって営業すればいいのですか。」

シェフ「何でしょう?あぁ、筆談をしたいのですね。書くものは…あいにく無いのですよ。そんな、露骨にがっかりしないでください。…ふふっ」

シェフ「もう夜ですね。お腹が空いてませんか?…ウミガメのスープでよければ、作り直しますよ。自分でいうのも変ですが、決してまずい訳ではないと思うんです。最後だから、あなたには美味しいものを食べてもらいたいな。……なんて。」

シェフ「星…きれいですね。久々に、怒ったり笑ったりした気がします。おかしなことを言いますが、まだ自分に感情があったんだなって、なんか安心しちゃった。」

シェフ「私、死ねないんです。もう何度も試したんですよ、でもダメでした。だけど今は、まだ死ななくてよかったなって、思うんです。……このままずっと、ここにいませんか?」

シェフ「……寝てたかと思いました。忘れてください。」

さらに■■分後……

女性「……んぁ、おはようございます。」

女性「あら、いい匂い。料理ができるのですね。誰かに作ってもらうなんて、いつぶりだろう。ふふっ、けっこう様になってますよ。……いただきます」

女性「…あれ?」


女性「すみません、これは本当にウミガメのスープですか?」


シェフ「はい…ウミガメのスープに間違いございません。」


女性「すごく、美味しいです。言葉ではとても、言い表せないくらいに」


女性「……ごめんなさい、嬉しいのに泣くなんて、おかしいですよね。なんでだろう……ヒック……ごめんね……ごめんね……」



女性「……ありがとう」

さらに■■分後……

女性「……お勘定ですか。私、お金なんて…このコートの右ポケット?ああ、ありました。」

女性「これ、私のコートですか。ずいぶん大きいけど…強引ですね、わかりました、ちゃんと着ますよ。帽子と手袋も、絶対男性用じゃないですか…ふふっ、そんなに勧めるなら、お借りしちゃいますね」

女性「……変ですね。足がすくんで、動けないです。外の出るのが怖い。ずっと望んでいたはずなのに」



女性「あの! このままずっと、ここにいても――――――」



女性「… … … …」(音声が小さく聞き取れない)



財団職員による無線通信から■■分後、SCP-774-CDがいると思われるレストランから一人の女性が出てきました。女性は■■■■が着用していたコートと帽子、手袋を身につけています。現地で待機していた財団職員の判断によって、女性は無事保護されました。顔を赤らめており、脈拍がやや早いものの、特に身体的な不調はないようです。音声記録の分析とインタビュー調査から、この女性は前任のSCP-774-CDであること、新たに■■■■がSCP-774-CDを担っていることが判明しました。現在、女性は財団の保護下にあり、過去は厳重に秘匿された上で職員として働いています。


正解条件1 職員が「はい、いいえ、はい,いいえ」しか答えられないことに気づく。
正解条件2 状況が本家「ウミガメのスープ」と酷似していることに気づく。
正解条件3 これらを本部に報告する。


出題者:
参加するには または してください
パトロン:
アシカ人参
と 匿名パトロン 3 名
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Cindy