駅の階段の下。
まもなく発車する列車の特急券と乗車券を、内ポケットから何度も取り出しては、またしまい込む男。
しばらくそうしていた後、(……ダメだ。この切符は使えない)そう考えながら、男は両手をポケットに突っ込んでその場を去っていった。
いったいどういうことだろう。
転載元: 「哀愁列車」 作者: GoTo_Label (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/4857
「ない! ない! ない!」あちこちのポケットを探る男。
財布を入れたポケット、ハンカチを入れたポケット、スマホを入れたポケット、切符を入れたポケット。
何度探っても出てこない。
ダメだ。どこかに落としたんだ。
このまま目的地に行くことはできない。もう発車には間に合わない。
男は手ぶらの両手をポケットに突っ込み、肩を落として近くの警察へ向かった。
鞄を預けたコインロッカーの鍵の落とし物がないかを確かめるために。