なぜ脇坂は自分の脇の下に「サトウ」と書いたのだろう?
転載元: 「脇が甘いから。」 作者: TATATO (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/464
覆面を被った強盗犯に自宅で襲われた脇坂。彼は強盗犯と揉み合いになったが、争っている最中にナイフで胸を刺されてしまった。咄嗟に胸を手で押さえたまま、床にうつ伏せに倒れる脇坂。だが彼は胸を刺される直前、強盗犯の顔を殴った時にその呻き声を聞いていた。聞き覚えのある声、その正体は同僚の佐藤だった。つい最近脇坂は同期の女性社員と付き合い始めたのだが、彼女はそれ以前に佐藤と付き合っており、佐藤を振って脇坂に告白してきたのだった。
「こんな奴に逆恨みで刺されて死ぬなんて……」
佐藤への怒りと死への恐怖の狭間で、それでも脇坂は自分のすべきことが分かっていた。胸から流れていく血。薄れ行く意識の中、脇坂は何とかその血で床にダイイングメッセージを残そうと考えた。しかし死ぬ間際に犯人を示す暗号など思いつくはずもなく、そもそも佐藤本人にダイイングメッセージが見つかってしまえば怪しく思われて消されてしまうことは明白である。そこで脇坂は胸を押さえていた手を佐藤に見つからないように床と胸の間でこっそりと動かし、まだ自分の血で汚れていない自分の脇の真下辺りの床に小さく自らの血で「サトウ」と書き残した。