狂ったのは歯車ではなく社会だ

友人だった海山カメミは、殴られ亡くなった状態で発見された。複数の殴られた跡から、隠れて苛めがエスカレートしたのであろうと教師たちは結論づけた。生前、教師たちは彼女を必死に庇ったが、それは無駄な努力だった。

「私が彼女を殺しました。」ウミコはそう泣き叫んだ。大切な友人を殺した犯人が誰か、勘付いていた私が彼女を問い詰めると、そんな言葉が返ってきたのだ。私は許せなかった。教師はウミコを厳しく処分した。

もう遅い。私はこの社会を恨んだ。
さて、カメミの殺害の動機は何か。2つ答えよ。

苛め。日本、否、世界中の学校に根深く存在する問題である。

ウミコはその被害者であった。思い返せば親友のラテミがいじめを苦に自殺した時、「私が彼女を殺しました。」と言った、いや、言わされたのは彼女だ。
そのいじめの主犯は誰なのか？私は知っていた。クラスのトップ格、海山カメミである。それを教師たちに告げ口するも、彼らは聞く耳を持つどころか、「海山さんがそんなことをするはずはないわ。あなた、おかしいんじゃないの？」とつっぱねた。
優等生ぶっている場合では無かった。私は友人を連れ1人カメミが歩いているところに声をかけ、鬼気迫る表情で詰め寄った。結局、彼女は白状した。全て自分の仕業だと。ラテミを殺したのは私だと。
許せなかった。人を苛める彼女は、もう友達ではない。気づいた時には…右手が彼女を殴っていた。
「正義」は誰だ？

【解答】
「カメミの殺害」の「動機」…いじめの主犯格を許せなかったため。
「カメミ」の「殺害の動機」…ない。苛めたかったため。(その他筋が通る解答は正解とする。)