マッチ売りの少女は大晦日の寒さの中で懸命にマッチを売ろうとしていたというのに、一方のカメコは7月下旬の30度を超える暑さの中であるにも関わらず、黙ってうつむいているウミコと向き合って、震えながらマッチの火に手をかざしている。
一体どういうこと?
転載元: 「こおりのマッチ」 作者: 光四 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/3989
数ヶ月前、最愛の夫・カメオを不幸な事故で亡くしたカメコ。
月命日の今日、夏休み中の小学生の娘・ウミコを連れて二人で墓参りにやってきた。
真夏の静かな墓地は、日陰がなく気温は高いものの、風はそれなりに吹いている。立ったウミコの前にしゃがみこみ、ウミコの持った線香にマッチで火をつけようとするカメコだが、風にあおられてなかなかつけられない。たびたび風で消えそうにもなり、カメコは右手でマッチを持ったまま、左手も火とウミコの線香に近づけて風避けになるようにする。
カメオとの日々を思い出しながら、悲しみに震えるカメコ。うつむいたまま、静かに線香を持ち続けるウミコ。その線香に火がつくまで、自然とカメコの左手がマッチの火で温められていた。