わがままな独裁者から好き勝手にこき使われ、死ぬほど苦労しているウミガメ国民。
そんなウミガメ国民のカメオは、独裁者が老衰で死んだと聞いた時に、遂に自分の死を悟ったという
何故?
転載元: 「殉死」 作者: tomo (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/3525
ウミガメ王国の独裁者、ディオニスは暴君だった。彼は、自分のやりたいことをやりたいようにやった。彼が頷けば国中の美女が集まり、彼が首を傾げれば国中の富豪が財産を差し出した。この国の中で、彼はまさに全能の神だった。
ウミガメ王国の国民であるカメオは、若かった。つい最近6歳になったばかり。最近ぼんやりと、この国の状況が分かってきたくらいの歳だった。この国には、ディオニスという神様のような人間がいる。それが、彼が最初に分かったことだった。
彼は『死』を知らなかった。もちろん、知識としては持っていた。ディオニスの昼寝を邪魔した大臣が処刑されたことも知っていた。しかし、それはあくまで遠く離れた誰かの身に起こることであって、自分が死ぬことは想像すらできなかった。
そんなある日、ディオニスが死んだ。その時ようやく、彼は悟った。あの、ディオニスですら死んだのだ。あんな、神様みたいな凄い人ですら死んだのだ。ということは、いつか自分も…
齢6歳にして、カメオは遂に、自分も死ぬのだという事を悟ったのだった。