屋上　&　親不孝

「最近カメオは成績が悪いらしいな。先生に授業態度を聞いてみようか」
そんな父の問いかけに、母が
「うん。」
と答えたので、授業をサボってばかりいるカメオは安堵したという。
何故？

カメオの父は単身赴任中。
現在、家にはカメオと母の二人しかいない。

さて、ある夜のこと。
カメオが居間でテレビを見ていると、家の電話が鳴った。
すぐに母が受話器を取る。
「もしもし」

その時、カメオは恐怖で震え上がっていた。
電話をかけてきた人に、心当たりがあった。
最近のカメオは、授業をサボって遊んでばかりいるのだ。
当然、先生からは何度も怒られている。しかしカメオはそのことを親に言ってなかった。あわよくば、親に知られないままやり過ごそうと考えていたのだ。
そんなときに、この電話である。
遂に、先生が親へ直接相談しに来たのだろうか。
母からどれほど怒られるかを想像して、カメオは怯えた。

すると次の瞬間、母が相槌を打った。
「うん。」

この親しげな相槌･･･少なくとも、受話器の向こう側にいるのは先生では無い
カメオは大きく安堵のため息をつくのだった。