カメオは海亀市内のとある本屋に赴いた。
カメオは店内をうろつき、本棚の前に立ち止まると、本を1冊手に取り、中身も見ぬまま本棚に置いて立ち去った。なぜか。
転載元: 「地道なテロリスト」 作者: dyty (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/3113
【答え】
カメオは自分の描いた本(漫画)を広めるために、店に自作の本(漫画)を置いて回っていた。
【ストーリー】
カメオは売れない漫画家である。いや漫画家とも呼べないかもしれない。カメオはどの出版社に属しておらず、これで生計を立てているわけでもなかった。はたから見れば個人の趣味程度にしか映らなかっただろう。
カメオに才能がなかったわけではなかったが、とかく運に恵まれなかった。出版社を何社もわたってみたが、人脈もなければ愛想もないカメオは全く相手にしてもらえず、自身のブログで公開してみたものの、そもそもブログを訪れる人が少なすぎる。
自分の作品を多くの人に知ってもらいたい。
日増しに思いを強めるカメオだったが、そこである大胆な策を思いついた。見てもらえないなら、見せに行けばいい。それもとびっきりの意外性をもって。
カメオは手始めに市内の小さな本屋に立ち寄ると、自分の描いた漫画を人目につかぬよう本棚に差し入れていった。ついでに「見本」とシールを貼っておけば、すぐに誰かの目に留まる。そんな活動を、ウミオは海亀市内の大手や個人店問わず展開した。
カメオの策は賛否両論だったが、この事件の意外性ゆえに、カメオの作品とその才能は多くの人間の目に留まった。その後ようやく出版社と契約が叶い、カメオは正式に自身の作品を世に送り出すことが出来るようになったのだ。
後にカメオは、自身同様、世に埋もれた名も無き作家たちを集め、自ら出版社を立ち上げていくのだが、それはまた別の話である。