漫画を切る！

とある漫画家の元に、一つの問い合わせが来た。
「あなたの漫画を切断したいのですが」

漫画家は快諾したのだが、それはなぜ？

問い合わせをしたのは、弱視の子どもたちのための本を作るボランティアグループ。
単行本では絵も字も小さいため、弱視の子どもたちには読むのが難しい。
そのため、弱視の人たちのために構成しなおした「拡大写本」が存在する。
彼らが作った写本は、視覚支援学校や一部の図書館などに配本されている。

ある時、彼らは漫画を拡大コピーして製本しなおすことを決めた。
が、そのまま拡大コピーすると、今度は大きすぎて持ちにくい。
苦肉の策として漫画をコマごとに分割、縮尺を変えたりして作り変えることにした。

子供たちのために。
この理念に共感した漫画家は、自分の作品を切断することを快諾したのだった。