結婚式を控えたカメミへのプレゼントとして母親が用意したものは、左右が別々の靴だった。なぜ?
転載元: 「不揃いの幸福」 作者: tomo (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/2862
【解説】母親であるシンデレラが、娘のカメミに、自分が結婚式で履いたガラスの靴をプレゼントした。片方は魔法で作られたもの、もう片方は王子様がそっくりに作らせたものだったため、左右で違う靴になっている。
https://www.cindythink.com/puzzle/show/2389
この問題は、パイナップルさんの問題『シンデレラボーイ』のオマージュです
シンデレラ王妃は、結婚を控えた娘、カメミにガラスの靴をプレゼントすることにした。
以前、カメミに、昔話と称して夫との馴れ初めを語って聞かせたことがあった。
その時、カメミは目を輝かせながら、二人を結びつけるきっかけとなったガラスの靴を自分も履いてみたいと言い出してきた。
あのときはびっくりして断ったのだが…
シンデレラは自室に置かれた金庫を開け、ガラスの靴をそっと取り出した。
あれから数十年経つが、ガラスはいまだに、汚れや曇り一つない透明さを保っている。
片方を魔法使いさんが、もう片方を夫が作ってくれた、一揃いの靴。
ずっと触っていると、魔法で作られた靴は微かに震えているようだ。やはり、人間が作った靴とは違うのだろう。しかし、傍から見ている分にはその違いはわからない。
カメミが結婚式にこの靴を履いてくれるのなら、これほど嬉しいことはない。数十年前の自分の結婚式の様子を思い出し、思わず口元がほころぶ。
自分のかつての幸福が、今度は娘の幸福となるのだ。夫も、魔法使いさんも、きっと喜んでくれるだろう。
にこやかにガラスの靴を眺めていたシンデレラだったが、やがて、ふと眉をひそめた。
一つ、不安なことがあった。
この靴は、シンデレラの足にぴったり合うように用意されたものだ。
はたして、娘のカメミの足に合うだろうか。
シンデレラは窓の外を見上げた。装飾豊かな窓枠に切り取られて、無数の星々が優しく瞬いている。
あの日、舞踏会に行けないと泣いていた私を魔法使いさんが助けてくれた、あの日を思い出すような、綺麗な夜。
合いますとも。
シンデレラはにっこりと微笑んだ。
どこからか、魔法使いさんが見てくれているような、そんな気がしたのだ。いや、きっと今も、私とカメミが良い子にしているかどうか見守ってくれているに違いない。
あの時掛けてくれた魔法、本当はまだ解けてないんじゃない? 親切な魔法使いさん。
12時を過ぎて、お城の上に広がる夜空の星は、いっそう煌びやかに輝いているようだった。