神社の賽銭箱にカメオが飴を入れたのは、雨が降っていたからだというのだが、カメオは何故そんなことをしたのだろう?
転載元: 「アメとアメ」 作者: エルナト (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/2430
***答え***
「雨は神様の涙」だと教わった心優しい少年カメオは、神様を元気付けるために飴をプレゼントしようとしたから。
***
「うわあああん!!」
神社の境内で転んでしまったカメオが大泣きしていると、母親のカメコはそっと手を差し伸べた。
「コラ、そんなことで泣かないの」
「だって……」
差し伸べられた手を握り立ち上がりながら、カメオはまだ愚図ついている。
「仕方ないわね、ほら、これあげるから元気出しなさい」
そういって、カメコはカメオに飴玉を与える。
我ながら甘やかすのは良くないなとは思いつつも、まだ3歳になったばかりの子だ、厳しく叱りつけても余計に泣き喚くだけだろう。
カメオは受け取った飴玉の小袋をフニフニと両手で抱えながら、グスンと洟をすすった。
ようやく泣き止んだかと思っていると、ポタリと雫が地面に落ちた。
あれ、また泣き出した?
いや、そうではない雨だと、その雫がカメコの服を濡らしたことで気が付いた。
「ホラ、神様もカメオが泣き虫だから、悲しんで泣いちゃったじゃない」
「……神様?」
「そう。雨は神様の涙だから」
そう言って、持っていた傘を広げ、カメコはカメオを中に入れた。
しかし、当のカメオはするりとその傘の下を抜けて、神社の祠の方へ走って行ってしまう。
「ちょっと、カメオ?」
呼び止めるも、カメオは賽銭箱の中にその飴玉を入れてしまった。
「ちょっと、コラ、何してるの!」
「だって、神様泣いてたから……」
カメオのその言葉にカメコはハッとした。
泣き出したカメオにカメコが飴を与えたように、泣き出した神様のためにカメオも同じようにしたのだ。
すると、突然カメコの背後から高らかな笑い声が聞こえた。
振り返ると、どうやらこの神社の宮司さんらしい、50歳くらいの袴を着た男の人が立っていた。
「す、すみません、この子、罰当たりなことを……ほら、カメオも謝って!」
「ご、ごめんなさい」
カメコが深々と頭を下げると、宮司さんはまた笑った。
「いえ。優しいお子さんじゃないですか。神様もきっと、喜んでますよ」
「本当にすみません」
一連のやりとりを見ていたらしい宮司さんは、特に叱るわけでもなくニコニコとしていた。
すると、どうだろう。
降り出した雨はたちまち止んで、雲間から太陽がのぞいたのだ。
「おや、どうやら神様も泣き止んでくれたみたいですよ」
俄雨で空気が澄んだのか、日の光がキラキラと綺麗だった。