猟師のカメオは山でウサギやイノシシを狩ってはその肉や毛皮を売って生活の足しにしている。
いつものように銃を持って山へ出掛けようとすると、孫のカメコに「それ何?」と聞かれたカメオ。
カメオが狩りについて話すとカメコに、「なんでそんなことするの?ウサギさんやイノシシさんがかわいそう……。おじいちゃんなんて嫌い!」と言われてしまった。
それもそのはず、カメコは動物の中でもウサギが特に大好きなのだ。
カメコは機嫌を損ねたようで、カメオが話しかけても素っ気ない返事しかしなくなってしまった。
しかしその日の夜、そこにはカメコとカメオの中睦まじい姿があったのだが、それはカメオがカメコの目の前でウサギを撃って見せたからだという。
一体どういうことだろう?
転載元: 「猟」 作者: 福元 術 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/2311
この日の夜、町内のお祭りに出掛けたカメオたち。
いつもなら手を繋いで歩いてくれるカメコはまだ機嫌が直らない様子で、両親と手を繋いで歩く。
「あっ、あそこにウサギのぬいぐるみがある!」
カメコが指差した方には、射的の景品となっているウサギのぬいぐるみがあった。
「本当だね~、あれ欲しいの?」
「うん!」
射的の屋台に向かうと、そこには棚に並べられたたくさんの人形があった。
ウサギのぬいぐるみは言うと、棚の一番上にある小さなウサギの人形を倒さなければならなかった。倒すのは至難の業である。
ウサギのぬいぐるみを手に入れるため射的をすることにしたカメコ。
しかし、コルクは全て的からは大きくずれ、あえなく終わってしまった。
「カメコ、おじいちゃんがウサギのぬいぐるみとってあげようか?」
「おじいちゃんできるの?」
「うん、おじいちゃんは猟師だからね」
「ウサギのぬいぐるみをとれればカメコに喜んでもらえるはず」
そんな期待を胸に銃を手にしたカメオ。
コルクは3発。カメオは狙いを定めると引き金を引いた。
しかし、コルクは隣にある人形を揺らすとそのまま地面へと落ちてしまった。
2発目。カメオはコルクを再び詰めると、銃口をわずかに右へずらし引き金を引いた。
と、今度はコルクがウサギの人形に命中。しかし、人形の端に当たったせいか倒れない。
「おじいちゃん頑張ってー」
カメオが頑張る姿を見て応援するカメコ。
残り1発。
カメオは意を決してコルクを勢いよく押し出した。
カタン……
コルクは見事にウサギの人形に命中し倒れた。
「おじいちゃんすごい!!やったー!!」
大喜びのカメコはカメオの元へ向かうと抱きついた。
「お嬢ちゃん、はい、ウサギさんだよ」
「うわぁ、ありがとう!ふわふわしてて可愛い!」
カメコはウサギのぬいぐるみを受け取るとギュッと抱きしめた。
「おじいちゃん、ありがとう!」
「良かったね~、カメコ。ウサギさん大事にするんだよ」
「うん!」
カメコは右手にウサギのぬいぐるみ、そして左手でカメオと手を繋ぎながら……