幼少期の終わり

人生で初めて『びとう』を食べたカメオ。それはとっても甘かったが、カメオは大人の気分を味わえたという。何故？

おたんじょう|び
　　　おめで|とう

今日は小学生のカメオの弟の誕生日。ケーキを切り分け終えて、いつものように、上に載っているチョコレートプレートを二人で分ける。しかし等分に失敗し、『おたんじょうおめで』と『びとう』という、明らかに不平等な割れ方をしてしまった。いつもなら大きい方の取り合いになるところだが、この日、カメオはそれを思いとどまった。
『今日はお前の誕生日だろ』
そう言うと、自分から『びとう』を選び、弟に大きい方を譲ったのだ。
『おっ、カメオは大人だなぁ』
父のそんな言葉を聞きながら、カメオは、甘くて小さいチョコレートをゆっくりと味わった