狼少年を知っているだろうか?
退屈しのぎに「狼が来た!」との嘘で大人たちをだまして遊ぶ身寄りのない羊飼いの少年。少年が繰り返し同じ嘘をつくので、大人たちは少年の言うことを信用しなくなる。そして本当に狼が来た時、誰も助けに来ず、少年の羊は全て狼に食べられてしまう。というお話である。
さて、このお話は「嘘はよくないことであり、そのツケは自分の身に返ってくる」という教訓を含んでいることはお分かりになられると思う。しかし、羊たちが狼に襲われた後、少年はむしろ普段の会話でも嘘ばかり言うようになったという。何故か?
転載元: 「狼青年」 作者: かきくりーむけろっこ (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/1281
狼に襲われた後も、羊は何頭か生きていたが、街の人々は少年の羊が全滅したと思い、身寄りもなく生きる術を失った少年を憐れみ、施しを与えた。しかし、少年はつい口にしてしまった。
「羊はまだ生きている。」
少年は、それを聞いた大人たちの感情が怒りに変わっていくのを感じた。そして咄嗟に、嘘をついた。
「狼が来た。」「っべーわー、昨日全然勉強してねーわー」「私たち友達だよね!」
それを聞いた大人は、少年がショックで正気を失ってしまい、嘘しかつけなくなったのだと、さらに憐れみを深め、より多くの施しを与えるようになった。少年は青年になっても嘘をつき続けなくてはいけなくなった。たった一つの本当の言葉を嘘にする為に……。